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交錯編-助言したのだろう

ゲフリーレンは重々しく言った。本来、上位存在を侮辱する様な事を言葉にするのは、危険だ。上位存在ーーーこの場合はアテナ様からの報復行為があるかもしれない。それを承知で、ゲフリーレンは口にしたのだ。

ゲフリーレンは俺をチラッと見る。


「ナギとアイの関係性、そして天候の村の因習は知っているな?」


「…あぁ」


ゲフリーレンの問いに、俺は天候の村の因習を思い出す。

あれは上位存在が、アイの誕生を予言していたかの様な内容だった。

ゲフリーレンは頷く。


「そう…上位存在は予見と言うより、計算する。そしてその計算が合っているか、確かめるのだ」


そしてその先に乱数を発生させ、観劇を愉しむのである。


「物語は波瀾万丈の方が面白い。役に立たない能力で、成り上がっていく様子は見ていて愉しいだろう」


「まさか…」


俺は察して、声を上げる。ゲフリーレンは頷いて、言葉を続けた。


双子の片割れ(ルカ)の身代わりだとは言え、頑なに因習を守ろうとしたのが引っ掛かる。おそらく上位存在が教唆ーーー助言したのだろう」


「…ナギが契約せざるを得ない状況に追い込んだと言う事か」


「更にナギは村を出る前、報復を恐れた村長に再度殺されそうになった。それを回避する為に、ナギの能力は変化したのだ」


ゲフリーレンは遠い目をする。


「そう…まるで能力を“宣言”に変化させる為だけに、ナギは追い詰められたのだ」





 ルカとゲフリーレンが話していた頃、私は頭を抱えていた。


さっき見た資料の写真に、殆ど掠れていたがアルカナの前身であるタロットのロゴがあったのだ。それを確かめに来たのだが、元はと言えば昔の連中の杜撰な手法が問題だったのだ。


「だけど新しい手法を授けただけで、その後の処理は放置かよっ!」


そう悪態を吐く理由は、目の前に密閉されているコレだ。


「まるでパンドラの箱だな」


と、そばにいたソルが苦笑いする。その様子に私はジロリと睨んだ。


「残念ながら、この中には災厄しか入ってないよ」


しかも、


「幾つあるんだよ…コレ」


目の前に有るのは幾つものコンテナだ。コンテナには何とか読み取れるほど薄れたタロットのロゴマークと、何かが記載されていたようだがーーー


「200年以上前の物だ。文字は殆ど掠れて読めないな」


と、ソルが目を細めて眺める。私は「それ以上、近付くなよ」と釘を刺した。


「大方の予想はついているが、確証はない。確認が取れるまで迂闊に近付くなよ」


「分かってるよ、俺だって死にたかないんでね」


減らず口を叩くソルに私は特に気に留めず、じっとそれらを睨んだ。そして溜息を吐いたのだった。

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