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小噺-名前
火炎の国で、凪と言う名の意味を知っている者はそう多くないだろう。
しかし古い世代や、それに大きく影響を受けている者からの虐め、迫害があるかもしれない。
また漢字表記の名前は発展の世界の特徴だ。
鵠沼、
常盤、
霰、
日向、
風見の様に、発展の世界ーーーつまりアルカナの者と誤認される可能性がある。
故に私は、改名をしないかと提案した。しかし、
「凪ではなく、ナギにするのなら」
「君がそれでいいのなら構わないが…栄光の世界出身だと思われるぞ?」
「それでもいい」
この世界で名前は平均四文字だ。
フルメン、
ルーカス、
ミランダ、
レイチェル、
ヒュエトス
たまにゲフリーレンやシルフィードと言った長い人名もあるのだが、二文字は殆どない。
「二文字の愛称で呼ぶが、本名で二文字は違和感がある。calmからとってカーメラやカーメル、カルメルはどうだ?」
「スペルが違う」
「……」
バッサリと切り捨てる凪。いや、ナギ。
ナギはギュッと服の裾を握った。
「私の名前は、ナギ」
それは何か、強い意志ーーー意味を含んでいたのだった。
短いので、明日も更新します。