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交錯編-選ばれた?何に?

私は覚悟を決め、凪を見つめた。


「アルカナと、疾風の国を追放された事は繋がっているのかい?」


「…そうだとも言えるし、違うとも言える」


どっちだ!!と突っ込みたくなるのを我慢する。凪はおずおずと言葉を繋いだ。


「私が人工能力者だったから、選ばれた」


「選ばれた?何に?」


「生け贄に」


その単語に、私は雷に撃たれた様な衝撃を喰らう。

あぁ、この子は…だからアテナ様は私に託したのか。

声が震えない様気を付けながら私は尋ねる。


「君は深奥の村にいたんだね…?」


深奥の村ーーーそれは風の檻と呼ばれる場所の、更に奥に存在する村。

発展の世界の者が、初めてこの世界に降り立った場所。

因習に縛られ、世界から隔離された場所。

それが、私の故郷だ。



 このロシェク大陸はチグハグだ。

名前は英語圏で、地名は漢字。ファータやパンタシアの様な人名、地名が同じ言語表記ではないのだ。

これは、発展の国の影響を大きく受けているからと思われる。


では、いつから影響を受けていたのか?


嘗て、発展の世界の者たちは武力制圧に乗り出そうとした。

しかし上位存在によって咎められ、結局未遂に終わる。


ーーー実はその時、上位存在はある事を言った。


『武力を用いない侵略なら許そう』と。


それは一見、難題の様だった。現に、アルカナは未だに人権を確保出来ていない。

だが、それは簡単に浸透していった。


そう、言語が。

意識が。


地名に漢字が使用されている事ーーーこれは発展の世界の文化が無意識下に根付いた為。

そして当然だが、全ての事に始まりがあるーーーこの場合は、足掛かりと言った方が正しいだろうかーーー場所が存在する。


そう、発展の世界の住人が初めて栄光の世界に降り立った場所。

それが、疾風の国の深奥である。


「ちょっとまて、それなら何故アルカナ本部は火炎の国にあるんだ?」


ルカは堪らず疑問を口にした。


「メーカー企業に見られる傾向だが、会社設立時の本社や工場は地方にあるだろう。そして成長していくにつれ、本社を発展都市に移転するパターン。それと同様だ」


特に火炎の国は、4ヵ国の中で一番最初に軍を設立した国だ。アルカナの作る魔道具にいち早く価値を見出した。それに加え貿易港を持つ氷雪の国に隣接している事から、アルカナは疾風の国から火炎の国に本部を移したとされる。


「しかし、アルカナが設立当時に作った…後ろめたい研究は続けられた」


「……」


そう、それが人工能力者研究。

フルメンは遺憾の意を示すように、吐き出した。


「ナギはアルカナに売られ、魔力を植え付けられた後ーーー風の檻で捨てられたのだ」


それは以前、ナギから聞いた話。


『四大元素の一つ、風使いを生み出す為に風の檻に放置するて事をしていたんだよ』


アレは、自分の事だったのか。

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