交錯編-それはまさに青天の霹靂だったらしい
ルカは私の言葉に息を呑んだ。
私は再び、沈み逝く太陽に目を向けた。オレンジと藍色のコントラストが嫌味なくらい美しい。
「…私はパンタシアによってアルカナに売られた、ファータ王家の人間だと宣誓したが」
私はゆっくりと口を開いた。
「それ以前に、まずファータがパンタシアに侵略された経緯を知っているか?」
私の問いに、ルカが頷いた。
「確か、天災によって甚大な被害が出た所を攻められたんだよな」
「そう、それはまさに青天の霹靂だったらしいーーーそりゃそうだ。なにせ時空を超えてきた物だったのだから」
「!?」
ルカは目を見開いた。そして僅かに思考を巡らせ、ハッと気付く。
恐る恐ると言った様子で、ルカは推測を口にしたのだった。
「まさか、アイがオリジナルを発現した事件の…?」
ルカの言葉に、私は微笑を浮かべる。
嘗てルカは私を「1を聞いて100を知る奴」と言ったが、ルカ自身だってそうだ。よく今までの事だけでそこまで推察出来るな…と感心してしまう。
「そう、アイの暴走した力をヒナタが理の力を使って別の時空へと飛ばしたんだ」
ファータを狙った訳ではないと思う。ただ、自分たちに被害がない様、別の空間にーーー念には念をいれ、過去に飛ばしたのだ。
「コレばかりは推測出来ても調査のしようがないから、流石にアテナ様に確認を取ったけどね」
理の下にいる私達が、理の力に触れるのは禁止されている。と言うか、出来ない。
その為、意を決してアテナ様に確認したのである。が、
『ソレが真実だと思うなら、能力を使って言ってみればいいのよ』
と、当時、アテナ様は意地悪く言った。
『貴女の能力で推測を言えたのなら、それは理が”是“としたと言う意味。間違っていればーーー貴女が苦しむだけよ』
苦しむって…窒息死する一歩手前じゃないですか。と突っ込むのをグッと我慢したのだった。
私はもう一度、ルカに向き直った。ルカと見つめ合う。
「ルカの言った通り、私はアイとヒナタを巻き込む事を重視した」
「……」
「特に意趣返しーーいや、皮肉かーーを込めて、”ヒナタが嵐を起こす事“に拘ったのは事実だ」
「……」
ルカは何とも言えない表情を浮かべた。私は一度目を伏せ、そしてーーールカの後ろにいる存在へと目を移したのだった。
「ご満足いただけましたか?アテナ様」
アテナ様は艶笑を浮かべていたのだった。
「☆何故、こんな事を…?」の嵐の事です。
ファータが天災に見舞われた事は
「裏-風塵の姫君」「裏-私なのだけれど」にちょっと書いてあります。