交錯編-上手くやっておけよ
全然更新出来なくて申し訳ございません(;ω;)
計画が変更されたと聞いて、私は目の前にいる愛妾を殴り付けたくなった。
何の為にお前を連れてきたと思っている?
「先程の揺れでお分かりと存じますが、外は嵐です。その為、襲撃は見送りになったと」
「なるほど…で、お前はどうする気だ?」
非常灯によって進む道の足元は明るい。下から照らされた愛妾の顔は、いつも通り淡々としていた。
「皆様の安全を確認してから戻って参ります」
照明が落とされていない部屋へと案内される。
先程からの揺れ。此処からでは分からないが、外は嵐の筈だ。
乗客の安全は船長が考えるが、主催者である私も動かなければならない。それをこの愛妾が代理として行うのだ。私はほくそ笑む。
「よく分かっているじゃないか、上手くやっておけよ」
そう言うと、私は愛妾を部屋の外へと追い出したのだった。
荒狂う海ーーーと思ったが、どうやらおかしい。
「これは魔法か?」
この船の上にだけ雨雲が発生し、渦を巻いて取り囲んでいる。こんな規模の魔法を使える奴はそういない。
「アイがやるとも思えないしな…」
風神の姫君ならば可能だろうが、アイがこんな事をする動機はない。
「ナギの指示か…?」
だが、ナギがアイにそんな指示を出すだろうか?
今回の件に関して、ナギはアイに"誰かの指示で"動く事を望んでいない気がする。
と、その時だ。
見覚えのある島に、俺は目を見開く。いつの間に進路が変わっていたんだ?
「菴羅…」
ナギ、お前は一体何を考えている?
私とそっくりの女性が、脚を挫いてしまったのか床にへたり込んでいた。
「大丈夫ですか?」
「ーーーありがとうございます」
女性は何か言いたげに私の顔を見る。差し出した手をおずおずと取り、私は女性を引っ張った。
「あの、つかぬ事をお聞きしますが」
「なんでしょうか?」
「先程…」
女性は口を開いたが、すぐに閉じてしまった。
私もどうしようかと考える。
この女性は、ナギを知らない様だ。
ナギはたしか、
『やましい連中は既に私の姿を知っているから、ルカといれば勝手に勘違いしてくれる』
と言っていた。つまりこの女性は、やましいーーーレジスタンスとは関係ない人物だと思われる。