交錯編
新章の宣伝みたいな内容です。短くてすみませんm(._.)m
ある日の事、ソファーで本を読んでいた俺にナギが聞いてきた。
「平行と並行の違いって説明できる?」
「正しい定義は知らないが、平行は2本の線が平らに並んでいる状態で、並行はただ並んでいるって感じだな」
俺の回答に「概ね合ってるよ」とナギが答えた。
「平行は線をどれだけ延長させようと、絶対に交わらない2本以上の線の状態の事。並行は並んで進んでいく状態の事。
だから話に進展がない場合『話がずっと平行』って使うが、並行は使わないんだよね」
あぁ、確かにそうだな。と俺は頷く。で、それがどうしたんだ?と首を傾げる。
ナギの意図が分からない。
俺の様子が面白かったのか、ナギは「特に意味はないよ」と笑った。
「ちなみに、Parallelは平行だが、パラレルワールドは並行世界って訳すんだ。パラレルワールドは並行世界であって、平行ではないんだよ」
つまり
「パラレルワールドは交わる」
交差しては離れ、また交差する。
いや、とナギは自分で言った言葉を否定した。
「交差じゃない、交錯だな」
「交錯?」
ナギは微笑を浮かべる。その瞳に俺は映っていない。思考はすでに、俺の理解の及ばない域に沈んでいるのだろう。
ナギは静かに言った。
「交差は2つのものが交わる事」
そして
「交錯は複数のものが交わる事」
だから
「並行世界は交錯する」
過去に3つの世界が交わったーーそしてまた交わるのだ。
「そうね、倒錯する前に」
アテナは艶笑を浮かべて言ったのだった。
明日から交錯編スタートです。
まだまだお付き合いいただけると幸いです!