✴︎首を突っ込むなと言う、警告か
1ページ飛ばして公開してました…。
申し訳ございません。
「殺される理由とか知ってたり、思い当たる事はある?」
私の問いに、スイランは頷いた。よくよく見ると、目が赤い。泣いた腫れが、まだ引いていないのだ。
「先日の託宣が原因だと、姉様が言っていました」
「先日の…?あ、もしかして」
アルカナの目撃情報か!と言うと、スイランは首を傾げつつ「不審人物についての託宣です」と答えた。
「カードような絵柄が描かれたローブを着た人物が、何か悪い事をしていたと」
それを警察に言い、夜間の巡回をお願いしていたらしい。だが、なかなか動いてくれなかったと言う。
私は項垂れた。納得する。
ローブにカード、もといタロットカードの絵柄が描かれていたのだろう。そしておそらく、小アルカナ・杯の8。村崎が与えられていた階級だ。
アルカナだと分かれば、警察がそう簡単に関わる訳には行かない。少なくとも国に報告して、指示を仰ぐのが当然だ。
そして私のもとに来た、と言うことか。
「悪い事って、具体的には知らないのか?」
「はい…。宣託を受けたのは姉様なので、申し訳ございません」
うーん、と唸る私は「取り敢えず教会まで送るよ」と言い、部屋を後にした。
スイランを送り届けている最中だった。
「なんでここで止まるんですか?」
私とスイランが乗ったゴンドラが、行き先とは別の所に進む。そして人通りがない水路で止まったのだ。
止まった瞬間、船頭は持っていたオールをスイングし私の頭を狙う。
「ふざけんなよっ」
と身を屈めて避ける。船頭の顔を睨むと、目が虚ろだった。あぁ、やはりか。
下から上に振りあげられたオールを、今度はそのまま垂直に振り下ろされた。私は急いでスイランを横抱きにすると、ゴンドラから飛び降りる。
「まさか、彼が犯人っ!?」
スイランが驚愕する。が、私は否定した。
「違う。あれはおそらくーー」
船頭が折ってくる気配はない。
が、目の前にいきなり植木鉢が落ちて来る。スイランは「ヒッ」と声を上げ、私にキツく抱き付いた。
上を見上げると、丁度窓がピシャリと閉まる。
あぁ、これは
「首を突っ込むなと言う、警告か」