過去編-だが、それはミスだ。
今回、後書きが長いです…。
「実力行使は嫌いなんだが」
今は仕方ない。元々、此処にいる連中も始末する予定だったのだし。
私は詠唱する。現れた身の丈ほどある杖に、常盤は「へぇ」と驚いた。
「まさかオリジナルが使えるとは」
そう言いながら、常盤は依然として余裕な態度を取る。私が殺さないとでも思っているのか?
私の思った事が分かったのか「まさか」と常盤は笑った。
「オリジナルを出された時点で、こっちに勝機はないよ。この場にいる全員が殺される」
常盤の言葉に一番驚いたのは、周囲のアルカナ派だった。ざわめき出し、一人が部屋の外へと逃げ出そうとするが、私はすでに魔法を発動させていた。
常盤は逃げる素振りも見せず、懐かしむ様な表情で話し出す。
「お前から大切なモノを奪ってやろうと思ったのに」
「……」
私は何も言えなくて、ギュッと唇を結ぶ。
「ナギ、俺はお前を許せない」
「……」
「お前がミラを殺したと知って、アルカナ派になった。アルカナ派に同調したのではなく、お前を苦しめられればそれでよかった」
そして手始めに風見を引き離した。常盤の言葉に、私は拳を握りしめる。
常盤はその様子に、微笑を浮かべた。
「次はルカだったが、さすがお前が見込んだ奴だよ」
ルカ、と言う言葉に私は何とも言えない感情を抱いた。しかし常盤は気付かないのか、話を続ける。
「だが、それはミスだ。お前は判断ミスをした。取り返しのつかないミスを」
高笑いする常盤。私はその意味が分からなくて眉を顰めた。
常盤はニンマリと嘲笑を浮かべる。
「良かったな。俺の目的が"お前が苦しむ事"であって。じゃなきゃ鵠沼総帥に報告している所だよ」
私は嫌な予感がして、杖を握る手に力が入る。
「霰の魔道具がもう一つ有れば良かったのにな」
常盤は私の腕輪へ視線を移した。
「それは本来、探索用の魔道具だ。あの時、お前が持っていればルカは助からなかっただろうがーーーそれよりずっと重要な事を握られずに済んだだろうに」
「どう言う意味だ?一体なにをーーー」
私の言葉を遮る様に、いきなり地面が揺れた。建物全体が音を立て軋み始める。
周囲の連中の声が大きくなった。ただ一人、常盤だけは変わらず笑みを浮かべている。
「ミラの遺志を少しだけ汲んでやるーーーあれは餞別だ」
あれとは何だ?そう問おうとしたが、時間切れだった。天井が崩れ、私は撤退する。
部屋を出る時、振り返ると常盤は満面の笑みを浮かべていた。
ーーーミラと地獄で待ってる。
そして常盤達は建物の崩壊に呑まれて行ったのだった。
ミランダ、霰、常盤の人間関係は、ナギ、風見、日向と似ています。
ただし
ミランダ=風見
霰=ナギ
常盤=日向
の様な関係です。
もし「ミランダ=ナギ」だったら、
記憶を失う前の風見ならどんな理由であれ、ナギが殺されたと知ったら、絶対に相手を許さないしだろうし…。
「ミランダ=風見」だと
ナギ「風見を殺すなんて!けど理由があるしなぁ。どうしよう…」
と、躊躇うだろうし…。




