過去編-嘘を塗り重ねるな
この話が終わったら、一度『アルカナ派』と『過激派』を統一修正します。
そろそろ終わる予定ですが、もう暫く先です(´-ω-`)
フルメンの言った元烹鮮支部の崩壊とは、私が佐倉達を始末した後、疾風の国との話し合いやら魔薬の回収を行っていた時に起きた事件である。
回収作業と同時に風見達の行方を追っていた私は、烹鮮でアルカナ派を発見した。
「捕獲する予定だったが、連中が抵抗して最終的には自爆した。建物は崩壊し、首謀者の村崎は生死不明との事だったな?」
確認する様に問うフルメン。私は嫌々ながら頷いた。
「あぁ、そこで見つけた書類を鵠沼に渡したんだ」
村崎が今回の首謀者だと窺える内容が書かれていた。
村崎はアルカナ内で風見と同じ地位だ。充分、納得できる。
「お前一人で、敵地に乗り込んだのか?」
「その場には、常盤さんもいた」
「……」
私の言葉に、全員が白い目で見てくる。ゲフリーレンは更に怒りを込めた目を向けてきた。
「ナギ、お前は我々を信じられないのか?」
「…どう言う意味だ」
「お前がよく使う手だ。先程の2つの宣誓ーーー書類を渡した"だけ"を宣誓から除いた事。そして、『一人で敵地に乗り込んだのか』と言う質問に対して、"常盤と一緒に"ではなく"常盤もいた"と言い換えた事」
「……」
グッと私は口を噤む。ゲフリーレンの怒りは次に哀しみへと変わった。
「嘘を塗り重ねるな」
ゲフリーレンの言葉に、私は脱力した。あぁ、そうか。バレているのか。
私が察したと分かったのか、フルメンは言葉を引き継いだ。
「本当の首謀者は常盤だな?」
「あぁ、そうだよ」
バレているなら仕方がないと、私は開き直る様に答えた。
「常盤は中立派だった。そして幹部の一人だったからな、その下についている連中も中立派が殆どだ」
弟子の風見がミネルバ派だったのが、寧ろ意外だったのである。私と仲が良いからと言って、それだけで派閥を決める程甘い組織ではない。
「常盤がアルカナ派だと知ったのは今回の件に関わった一部だけで、アルカナ派の連中ですら殆ど知らない」
「だから中立派に知られる前に、"共にアルカナ派へ乗り込んで死んだ"と言う事にしたのか」
「あぁ、村崎は生贄の羊だ」
私は無表情に答えた。
私は元烹鮮支部へ単身で乗り込んだ。
「やぁ、ナギ。此処に風見はいないよ」
「だから来たんだよ。全能者相手に喧嘩なんて出来るか」
私は見せつける様に、手首を晒した。そこにはルカから借りた魔道具があり、常盤への対策を示している。
常盤は底意地の悪い笑みを浮かべた。
「へぇ、つまり風見を取り戻すのは諦めたのか。だからと言って、この人数を一人で相手するのも無謀だと思うけど?」
そう言って、常盤の視線が私の背後に移る。私は振り向き様に剣を抜き、襲い掛かろうとしていた村崎を切った。
「ゔっ」
寸での所で後ろに身を引いたらしく、傷が浅い。私が腹を押さえる村崎を蹴り飛ばすと、置いてあった棚に背中をぶつけて村崎は床に倒れた。
ゲフリーレンの言葉について、
前ページを確認していただけると分かります。
「お前がよく使う手」→同盟編「解説:全てに復讐しろと言った」でヒナタにもバレてます。