過去編-調べて欲しい事がある
応援に来た支部の連中に子供を引き渡す。そのメンバーに佐倉もいた。
「風音支部にいるミネルバ派ってこれだけか?」
ルカが首を傾げた。やってきたのは佐倉含め五人。支部内の人数を考えると1割にも満たない。
佐倉は「いえ、本当ならもっといます…」と俯いた。
「最近、体調を崩す者が多いんです。午前中は元気なんですが、午後に急に具合が悪くなって倒れる者や早退する者が相次いでいて…」
ふむ…と私は考える。
「それはミネルバ派だけ?」
「はい」と頷く佐倉。
「数人でお昼を外で食べに出た後、まとめて体調不良を訴えたので集団食中毒の可能性を考えた時もあるのですが…」
保健所の立入検査で問題はなかったらしい。更に、
「同じ料理を食べた七人中二人が体調を崩すなど、全員ではない時もあるんです。けど体調を崩したみんなが同じ症状を訴えるので、関係があると思うのですが…」
「それは確かに…」
ルカも腕を組んで考える。私は「ちなみに、どんな症状?」と尋ねた。
そして佐倉の答えに、目を細める。
「…ちょっと、調べて欲しい事がある」
出来れば至急に、そう付け加えたのだった。
佐倉達が撤収した後、私は「今日の予定を変更する」と言って、電話をかける。
2コールで相手は出た。
「レイか、フルメンは今空いてるか?」
『残念ながら中将は今、会議中よ』
「何かあったのか?確か今日は何も予定になかった筈」
『えぇ、先程いきなり招集されたの。詳細は私もまだ知らないのだけれどーー』
そこでレイは声を潜めた。
『氷雪の国で何かあったみたい』
「!!」
氷雪と言えば、風見と常盤が何か任務についている。
私は風見に連絡した方が早いと判断すると「フルメンに、折り返しよろしくって伝えといて!」と一方的に言い、電話を切った。そしてすぐに風見の電話へとかける。
しかしコール音が響くだけで、一向に出る様子はない。仕方なく、一度電話を切ったのだった。
「常盤さんにもかけてみたが、繋がらない」
一緒に行動を共にしているだろうと、ルカも常盤に電話をかけてみたが、繋がらない。私は臍を噛んだ。
「氷雪で何があったのか分からなければ、どう推測すればいいのか…」
現時点で不明瞭な事は2点。
1、風見達の任務内容
2、氷雪で起こった事
「②については、結構な大事があったと見るべきだろうな」
ルカの言葉に、私は頷く。
「フルメン達、火炎の上層部が緊急会議を開くくらいだ」
魔薬の事を聞きたかったが、フルメン達と連絡がつくまで、こちらで調べるしかない。