表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

143/325

過去編-人工天然

 ナギと任務地に向かう。と言っても、まずは首都、風音にある支部に顔を出していた。


「お久しぶりです、ナギ様」


「様付けはいいって、佐倉(さくら)


佐倉と呼ばれた少女は、人懐こい笑みを浮かべナギに抱き付いた。そして後ろにいた俺に気付くと「あぁ、この人が」と興味深そうな眼差しを向けてくる。


「風見様が『ウザったい奴』って言っていたルカさんですか?」


「う、うざったい…」


風見の奴…まさか俺の悪評を各支部に広めている訳ではあるまいな。俺はこめかみに小さな怒りマークを浮かべつつ、佐倉に自己紹介した。


「風見がそう評価した人物かどうかは分からないが、俺がルカだ。能力は空間転移」


わざわざ能力を教えたのは、一種の牽制と自慢である。

空間転移能力は稀少だ。俺は一目置かれるに足りる存在なのだと、暗に言う為。

その意図が分かったのか、ナギは「大人気ないなぁ」と呟いた。

が、


「やっぱり!風見様が『稀少能力者ってだけで鼻にかけてる奴』って言ってたので!稀少能力って転移だったんですね!」


グサッとダメージを負う。どうしよう、牽制が通じない…。ナギを見やると、口を押さえて笑いを堪えていた。


「天然て怖いだろう?」


「あぁ…全能者よりもな」


目の端に涙を浮かべるナギに、俺は白旗を振ったのだった。

ナギは「簡単に喧嘩は売らない様にした方がいいぞ」と言いつつ涙を拭くと、佐倉の肩に軽く手を置いて俺に紹介する。


「佐倉はこんな見た目だが、私達の一つ下で教員免許及び保育士資格を持っている。実務経験も積んでいて、先月まで公立の保育園に勤めていた」


「へぇ、つまり教育のエキスパートか」


先程のダメージから回復しつつ、俺は感心の目を向ける。そして「ん?」と疑問が浮き上がった。


「勤めていたって、呼び戻したって事か?」


「あぁ、新たな教育部を作ろうと思ってね」


新たにだって?寝耳に水の情報に、俺は目を見開く。佐倉を見ると「ご存じなかったんですか?」と悪意ない眼差しを向けて来たので、更にダメージを受けた。

佐倉(こいつ)には教えていて、俺に内緒だったと?俺はナギにを恨めしく思い、キッと睨む。


ナギはナギで「佐倉…もうやめてあげたら?」とため息を吐いた。え?何を?

何も分かっていない俺に、佐倉は「だって風見様が」と膨れた。


「ルカ…天然で子供の相手が務まる筈がないだろう。高いコミュニケーション力は勿論、子供に危険な事をさせない、遭わせないと言う危機管理、物を教える言う教育力などが求められる職業なんだぞ?」


「つまり…」


「「人工天然」」


「……」


どう突っ込めばいいだろう。人工では天然じゃないだろ、と一応言うべきか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ