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過去編-よりにもよって

「確かに、私には無用の長物よ。けど、ルカよりも持つべき者がいるからね」


「ちょっとまて…まさかお前」


風見の言葉にルカが反応した。私の言葉は無視して、風見には反応するのか…。私は少しモヤッとした気持ちになる。が、ルカはそんな事には気付かず、風見の方を見て一度口を閉じると、意を決した面持ちで宣言した。


「…俺は、ナギに渡すつもりで戦ってる」


「!?」「!」「ほぅ」


私、風見そして日向の順での反応である。ルカの言葉に風見は驚愕し、暫し二人は見つめ合った。そして


「…そう、ならもう勝負する必要はないわね」


風見の言葉に、折角並べたチェスをルカは片付けだす。

ちょっと待って。どう言う事?

私一人が、話について行けていない。魔道具をくれるのは嬉しいけど、量産型は私使えないよ?


「大丈夫よ」


と、風見が微笑む。

「まずはソレ、使ってみなさい」と含み笑いを浮かべながら言った。


「使ってみろって言われても…」


どうすればいいんだ?振ればいいのか?

珍しく困り果てている私の様子に、風見と日向が少し驚く。そして二人は、顔面を殴りたくなる様なーーー意地の悪い笑みを浮かべた。


「どうすれば発動するんだよ」


そう問うが、二人は助けてくれない。非難の目を向けようとしたら、いつの間にかルカが隣に立っていた。


「あいつらを参考にするな。四大元素の奴らと、俺達みたいな能力者とじゃ感覚が違う」


と言って、後ろから剣を握る私の手に自身の手を重ねる。

ビクッと、僅かに緊張する私の手。少し体温が上がったのも、脈が少し早くなったのも、おそらく気のせいだ。

ルカは平然とした面持ちで、魔力を操作した。そして


「わっ!」


刀身が赤く光る。僅かに熱を感じた。


「俺の魔力には、火属性に反応する」


「人によって違うの?」


「あぁ、だから俺達でも扱える」


そう言って、ルカは手を離した。すると剣の光も消える。

私はルカに教えて貰った要領で、同じ様に魔力を流し込んだ。そしてーーー風が吹く。

意外、と言わんばかりに日向が声を上げた。


「へぇ、ナギは風属性か」


「そうね…てっきりルカと同じ火属性だと思ったわ」


「…ナギ?」


私が無反応な事に、ルカは不思議に思って顔を覗いてきた。

だが私は、ほぼ放心状態だった。


()()()()()()()()


その言葉がリフレインする。


「…そうだな」


何とか声を出す。風見達は気付かないが、ルカは不安そうな表情を浮かべた。しかし私は何も応えなかった。


ーーーきっと、アテナ様は艶笑を浮かべているだろう。

もしかしたら、呵々大笑かもしれない。腹を抱え、口を開けて。


「ありがとう、風見、ルカ」


私はグッと気持ちを抑えて、二人に感謝を述べたのだった。

Twitter始めました。

更新通知(予約投稿しました、的な)や、もしかしたら物語の補足説明、裏話など上げるかも笑

お暇な時にでも、覗いていただけたら嬉しいです(о´∀`о)

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