過去編-ナギ…目を瞑れ
読み飛ばしても問題ありません。
ただのイチャイチャ回です。
裏タイトルは「吊橋効果」です笑
ヒラヒラと白い紙が、雪の代わりとでも言わんばかりに落ちてくる。
俺に抱き付くナギは、必死に震えを抑えようとしていた。心底、怖かったのだろう。
肩を支えていた手をゆっくりと動かし、ナギの頭を後ろから撫でた。梳く様に離せば、滑らかな髪が名残惜しそうに、指から解けていく。
「怖かった…」
そう呟くナギを、宥める様に撫でる。何度か繰り返すと、ナギは微かに背中を反った。俺を掴んでいた手は、より一層、何かに耐える様に力が入る。
「ルカ…」
いつもと違うナギの表情、熱っぽい声に俺は歓喜する。頭を支えていた手を緩めると、ナギも顔を上げた。
俺と目が合うと、急いで目を逸らし再び俯く。しかし顔が赤くなっているのは、隠せていない。
俺は愛おしさが込み上げてくるのを感じ、笑みを浮かべた。
意地悪だと思うが、わざと顔を覗き込む。
「ちょっとっ!」
真っ赤になって焦って怒って、必死に照れ隠しするナギ。恥ずかしさからか、目に涙を浮かべ上目遣いに睨んできた。
しかし、怖さは感じない。
「ナギ」
俺は口端を上げると、ずいっと顔をナギに近付けた。ナギは少し目を見開く。
唇が触れるまでの距離は、あと僅か。
「ナギ…目を瞑れ」
俺は再度、頭を押さえる手に力を込めた。後ろに逃げようとするナギを捕まえる。
ナギは驚き、戸惑い、恨めしそうにーーー恥ずかしそうに俺を見た。何か言おうと口を開けるが、すぐに閉じる。
そして観念したのか、力を抜いたのが分かった。
ゆっくりと目を閉じるナギ。
初めて触れたナギの唇は、冷たかった。
唇を重ねる。僅かに紫がかっていたナギの唇も、俺の体温が伝わったのか本来の色を取り戻していた。
「ルカ…もうーーー」
ナギの言葉を遮る様に、離した唇をもう一度塞ぐ。僅かに開いた隙間から、舌を入れた。
ナギはもう、恥ずかしさを我慢せずにのけぞった。俺の肩を押して離れようとするが、ピクリともしない。
ーーーあぁ、ナギ…愛おしい。
逃げる舌を追いかける。
ーーー本当に嫌がっているのかもしれない。
けど、もう無理だ。
じっくりと堪能し唇を離すと、銀色の糸が尾を引いた。ナギは乱れた呼吸を整えようとする。
その様子が可愛くて、触れたくて。俺はナギの片耳に髪をかけた。
「ルカ…酷い」
ナギはキッと睨んでくる。俺はもう一度その口を塞ごうとしてーーーナギが先に口に手を当てた。
「もう、駄目」
その目は、いつもの強気な光を湛えていたのだった。
こんな内容を入れてしまい、申し訳ございません。
次回は解説回となります。