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過去編-嘘でしょ!?

 そしてナギは遂に、最後の部屋へと辿り着いた。


「書斎?」


そこには大量の本に囲まれた書斎だった。敷かれた絨毯は、エントランスの物と同じ様だ。隅には、幾つかの武器の入った木箱が置かれている。おそらく作製前後の魔道具だろう。

机に近付くと、そこには『ふうじんの姫君へ』とメモが貼られた書類の束があった。私は眉を顰める。

そして書類を手に取りーーー視界がブレた。


「嘘でしょ!?」


突然の事に、反応が間に合わない。

絨毯の模様に沿って切れ目が現れ、私は落ちたのだった。




 俺は「ラッキー!!」と喜んだ。


『1=0.999…の証明をしろ。証明は一つで構わない』


「以前、ナギから教わったんだよなぁ」


そう言って、俺はタッチペンを掴んだ。


「1=0.999…が正しいと仮定する。

両辺に同じ数を割ると

右辺=0.999…÷3=0.333…

左辺=1÷3=0.333…

右辺=左辺となる為…っと」


(故に)1=0.999…は正しい、と回答する。

他にも証明方法があるらしいが、証明は一つで構わないと書いてある。つまり複数ある内の一つでいい筈だ。

そして正解と出る。


俺はペンを置くと、後ろを振り返った。扉には「55」と書いてある。


「0、1、1、2、3、5、8、13、21、34そして55」


今までの数字を呟いてみる。流石にこれは分かる。

隣り合う2つの数字の項の和で、直後の項が作られる数列。


「フィボナッチ数列…」


ずっと、進む扉が右側にあったのかも理解する。描いていたのだ、螺旋を。


「おそらく、気付かないくらいの角度で下がっていってるな…」


フィボナッチ数列は直前の項で和を割る、つまり比を求めると、項が大きくなるほどその比は1.618…に近付いていく。


そう、黄金比に。


黄金比で描かれた螺旋は永遠に続く。だが、現実は有限だ。永遠にこの扉が続く筈がない。

そしてその考えは正しかった。


「今ので最後か…」


あれから幾つか進んだ先で、エントランスと同じくらいの広い場所へと出る。天井を見上げると、


「部屋が箱状になっていたのか…」


言うなれば、此処は今までの部屋の外側か。いや、外気を感じない為、正確にはまだ屋敷の中である。


「ナギに連絡…は、やっぱり無理か」


電波は圏外を表示している。俺はスマートフォンを仕舞いながら、周囲を見回した。


「ナギの方は、違うのか…?」


頭上で螺旋を描く箱は、自分が通ってきた物しかない。そして部屋には、自分が通ってきた扉のみ。ちなみに出口もなかった。

エントランスにあったドゥンケルシュタールの効果範囲が分からない以上、魔法は使えない。帰りはまた通ってきた部屋を戻るしかない様だ。

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