過去編-ナギは大丈夫か…?
「3乗か」
343は7の3乗。0はいくら掛けても0だ。
3の3乗は27、4の3乗は64。よし、合ってる。
「この数式に共通する法則は、左辺の数字の桁数を、格桁の数字に累乗した式が右辺となる」
つまり
370=3^3+7^3+0^3
1,634=1^4+6^4+3^4+4^4
「なら371は…27+343+1」
入力を終えるとまた『正解』と出る。
先程と同様に、鍵が開く音がした。
「これ、あと何問あるんだ…」
時間制限がなかったのが救いだが、必ず正解出来るとは限らない。
「ナギは大丈夫か…?」
ナギは頭が良い。しかし側にいて気付いたが、その頭の良さは知識に頼っての事が多いのだ。
言うなれば、ひらめき問題に弱い。
「危険な目に遭ってなければいいが…」
俺は次の部屋ーーー右隣の部屋に続く扉を見つめたのだった。
ルカと別れた私に待っていたのは、悪態を吐きたくなる問題だった。
『制限時間以内に、二進数の1111111を十六進数で表せ』
「面倒臭いっ!!」
頭の中で急いで十進法に直す。えっと、確か2の0乗から、2の7乗まで出して足すんだろう?あぁ、関数電卓が欲しい…。ただの計算であるが故に、制限時間が設けられているのだろう。
制限時間ギリギリで答えが出た私は、乱暴に回答する。
「255はFF」
正解と画面に表示され、ガチャっと天井から音がした。見上げると扉があり、壁には梯子がある。
私は胸を撫で下ろした。良かった…面倒だが、単純に計算するだけなら問題ない。
しかし、次の部屋でその考えは打ち砕かれた。
『370=27+343+0
407=64+0+343
1634=1+1,296+81+256
これらの数字は何と言う?』
「…ナルシスト数」
または、アームストロング数。画面に『正解』と出た。
私は焦る。
「偶然知っていたから良かったが、マイナー過ぎるものは流石に知らないぞっ」
もしルカがこちらの部屋を選択していたら、きっと答えられなかった筈だ。
ルカは頭の回転が早い。しかし知識量は、私より劣る。
「ルカ、大丈夫か…?」
危ない目に遭ってなければいいのだが。そう呟いて、後ろを振り返った。そして目を見開く。
「これは…」
入室した際に使った扉には、雪の結晶の様な図形が描かれる。ただそれは、輪郭を象った様で図形の中には線一本も描かれていない。
態々振り返らなければ、気が付かなかっただろう。
「霰さん…」
これが何を意味しているのか、今の私には分からなかった。
それからと言うものーーー
「220と284」ーーー「友愛数」
「6、28」ーーー「完全数」
「120」ーーー「5!」
お互いの状況が分からない中、二人は何とか先へと進んで行く。
実はナギよりルカの方が、地頭は良いです。
けどナギの知識が膨大過ぎて、知識で何とかしちゃいます。
故に、ルカが解いた問題はナギも正解出来るけど、
ナギの解いた問題(ナルシスト数)は、ルカには解けません。
ルカよ、頑張れ!