過去編-腹を括るしかないか
「高さ的には、そのまま行けそうだけどな…」
パルクールを取得している私としては、側に柱があるお陰で、頑張ればそのまま登れそうである。
しかし霰さんが用意したルールに反した場合、何か罰がありそうで怖い。
鍵を受け取る際、珍しく鵠沼が言ってきたのを覚えている。
「気を付けろよ」と。
此処は大人しく、霰さんの指示通りにしようと決意した私は、必要回数を打ち込む。ルカがパネルを操作して、出来上がった階段を私達は上った。
「これはどう考えても、二手に分かれろって事だよな…」
「遺言状に"二人で"って書いてあったのは、おそらくこの為だろう」
左右に分かれた部屋。一体、どんな問題が待ち受けているのか…。扉を開ける前に二人で耳を当て、中の様子が探れないか試すが、残念な事に何も聞こえない。
「腹を括るしかないか」
ルカの言葉に、私は溜息を吐いたのだった。
ナギと別れ、俺は扉を開ける。
入った部屋には、一階にあったタッチパネルと似た物があった。そして次の扉は右の壁に、つまり隣部屋に繋がっている。一応、試しにドアノブを捻ったが、やはり鍵が掛かっていた。
渋々扉から離れ、画面を見ると当然の様に問題が表示されていた。
『空欄に入る数字は?
01,02,03,04,05,06,07,⬜︎
1,10,11,100,101,110,111,1000』
「法則を見つけろって事か…」
俺はホッと胸を撫で下ろした。良かった、これなら分かる。
「二列目は二進法。つまり1000は十進法で8だ」
俺は8と入力し、決定ボタンを押しーーーかけた。手を止め、もう一度数列を見る。
「なんで0が付いてる?」
十進法なら、態々0は付けない。故にこれはーーー
「八進法かっ!!」
間違いに気付き、急いで回答を取り消す。そして010と入力して決定を押した。画面には『正解』と出て、隣のドアからカチャンッと音がする。あっぶねぇ!!
冷や汗をかいた俺は、次の部屋へと進ーーーもうとして、後ろを振り返った。そして入ってきた扉に、『0』と書かれているのを発見する。
「何だ…?」
眉を顰め、俺は次の部屋へと歩を進めた。
次の部屋は、先程の部屋と比べ大分狭かい。しかし問題は先程と似ていた。
『共通する法則に則って適切な式を入れろ。
370=27+343+0
407=64+0+343
1634=1+1,296+81+256
371=?』
右辺の合計はちゃんと左辺と合うのを確認する。つまり371になる式を考えろって事か。
「そんなの腐る程あるぞ…」
その内、他の数式と同じ法則を持つものが答え。
俺はジッと上の3行を見つめた。
「343と0…」
370と407に共通する数字。そして、態々0を書いている理由。これはおそらくヒントだ。
左辺と右辺を見比べ、俺はハッと気付く。
にわか程度の数学知識で、すみませんm(_ _)m