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過去編-あれ?これって…

「魔法陣の基礎は数字だ。優秀な魔道具師程、数学に通じている」


私は臍を噛んだ。


(にわか)程度の数学知識で通じるか…?」


一度戻った方がいいかもしれない。そう思った瞬間


「「うっわぁ!!」」


背中を強く押された。強制的に館の中に入り、勢いで床に手をつく。絨毯に頬が当たった。絨毯の柄が目に入る。


「あれ?これって…」


「悪いっ!!大丈夫か!?」


私の後ろにいたルカは、押されたせいで私にのしかかる様に倒れた。急いで立ち上がるルカ。

そして振り返ると、案の定、扉が閉まっていた。


「まぁ、いざって時は俺の能力でーーー」


「無理だと思う…」


ルカの言葉を遮って、私は立ち上がると正面を示した。広いエントランスの中心には、金属製のエンブレムが飾ってある。


「門の上にあったのとは、形が違うな…」


「此処にあるのは、おそらくドゥンケルシュタール製だと思う」


六芒星の輪郭をなぞった様な星形。よく見ようと目を凝らした時、薄暗かったエントランスが明るくなる。急な事だった為、私は「ゔっ」と呻き、目を庇った。


「ナギ、大丈夫か?」


「あぁ…それよりコレって」


慣れていた目で認識したのは、三本の柱。そして一番左の柱には、数字が振られた円盤が円錐の形を取る様に重ねられている。


『階段を作れ』


そして再び、スピーカーから指示が出された。

階段?と首を傾げて、柱を下から上に見上げ、意図を理解する。


「成程、二階に上がる階段がないのか」


ルカの言葉に私は頷いた。本来なら中央に階段があり、左右に分かれた二階の部屋へと向かうのだろう。しかし今は、その階段がない。


「円盤を中央に入れ替えろって事か」


「あぁ、ご丁寧に操作パネルまであるよ」


私は手前にあるパネルを覗き込む。タッチパネルのゲームみたいで、画面上の円盤を少し動かすと、同時に実物の方も動いた。

ドゥンケルシュタールがある為、魔法ではない筈。どうなってるのだろう。


「おい、コレは何だ?」


と、ルカが画面の端を示す。私は「げっ」と声を上げてしまった。


「計算もしろって?」


パネルには『階段を完成させる為に必要な最少の移動回数は?』と書いてあった。私は一番下の円盤を見る。


「…こっちは簡単だから構わないが、問題は移動させる順番だな」


最少回数を問うと言う事は、その回数で行えと言っているのだろう。一度も間違えるな、と。


「…ルカ、出来る?」


「あぁ」


目の前にあるハノイの塔を、じっと見つめていたルカが頷く。おそらく、頭の中でシミュレーションしていたのだろう。


「…63回で合ってるか」


「流石」


私は拍手した。


「動かす円盤は7枚。ハノイの塔の最少移動回数は2^nから-1をして求められる」


そして円盤の数は7枚。つまり2の7乗引く1。最少移動回数は63回になる。


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