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過去編-ほぼ確実に

稀代の魔道具師・霰。魔術や科学技術が優れているアルカナの中でも、飛び抜けて優秀な存在だった。特に魔道具製作は右に出る者はおらず、『科学力のアルカナ』から、魔術も含んだ『技術力のアルカナ』に変えた人物である。

日向が幹部になったのを契機に引退。氷雪の国から疾風の国にある雪山へ転居し、隠居生活を送っていたーーーらしい。


「数回会った事があるが、普通の人だと思ったけどな」


「普通の人間なら、一人でこんな所に住まないよ…」


全盛期に取得した特許は数知れず。職務発明の為、特許権はアルカナに帰属するが、趣味で取得した物も幾つかあり、存命中はその不労所得で生活していたらしい。


「かつて魔道具は受注生産品(オーダーメイド)だった。けど霰さんのおかげで量産型が出来たんだ」


魔道具は使用者の魔力を使って、魔法を出す。私の言葉に、ルカは「確かにあれは偉業だった」と頷いた。


「風見のような全能者なら兎も角、魔力の性質が違うと行使出来ない所か、暴発するしな」


「そう。それに、魔道具の魔力許容量が使用者より小さいと壊れてしまうし、逆に使用者の方が少ないと発動しない」


故にオーダーメイドしか出来なかった。それを少しの条件で、多くの者が使える様にしたのが霰なのである。


「まぁ、四大元素の分類(少しの条件)から外れている私達には関係ないんだけどね…」


私は鵠沼から預かった鍵を取り出しながら、そう話す。鍵穴に挿すと、クルッとルカの方に振り向き、


「ねぇ、何が起こると思う?」


「何かが起こる事は確定なのか…?」


私は「ほぼ確実に」と真顔で頷く。


「カラクリ屋敷って自分から言ってるあたり、中は罠だらけーーーいや、扉を開けた瞬間から油断は出来ない」


「そうか、骨は拾ってやるからさっさと開けろ」


この薄情者っ!と私はキッと睨みながら鍵を回す。

ガチャッと音がしたが、何も起きない。良かった、と二人安堵する。

が、それは間違いだった。


『第一問!』


「「!?」」


突如、上から声が降ってくる。私とルカは目を見開き、上を見た。そこにはいつの間にか、スピーカーが出ている。


『今から述べる数字で、仲間外れはどれだ。1、2、3、5、7』


「「1」」


流石にコレは分かる。素数は1とその数字だけでしか割れない自然数であり、1は含まれない。私達は同時に答えた。

正解だったのか、ゆっくりと扉が開く。


「…ルカ、数学の基礎知識に自信ある?」


「さっきの素数くらいなら余裕だが…」


予想はしていた。

魔道具は、道具に魔法陣を刻む。そして刻印出来る魔術の威力や数は、道具と作製者の技量によるのだ。

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