解説-またいつか
そして最後にやった事、それはーーー師匠が使った坑道の入り口を爆破した事。
村崎達がやったのは、サトリのフリと、入口の爆破だけである。事件当時、出口にも仕掛けようとした矢先、師匠に捕まりボコられたらしい。
そして師匠は、村崎の頭の中を読んで「まだ爆弾は仕掛けられていない」と思い込み、坑内に入ってきたのだった。ーーーもっと注意深くしていれば、私が1ヶ月前に仕掛けて置いた爆弾を見つけられたかもしれないのに。
アルカナ派が行い、早々に打ち切る事を私が了承した現場検証ーーーもとい証拠隠滅は、村崎のものだけではなく私のものもだった。
私はひと月程前に任務の帰りがてら、あの坑道に来ている。
そして爆弾やーーー師匠に見捨てられた時の為に、別の遮断魔法を仕掛けて置いたのだ。ちなみに、ちゃんと機能しているか壁に触れて確かめてから、爆破ボタンを押した。
「魔法陣を仕掛けていた際、バッタリ作業員と遭ってしまったのは予想外だったな…」
灯りを事前に壊していなかったら、バレていたかもしれない。
あの時、急いで作業員の動きを止めた。そして、出来れば使いたくなかった手段に出た。
アレをやると神経がピリピリして、後で熱が出るのだ。更に調節を謝ると、相手を廃人にしてしまう可能性がある。
今回は一人で、しかも短時間だったのが、不幸中の幸いだ。
「私の能力は宣誓」
述べた事が絶対に真実である事を、真理が保証する能力。
能力を使用した時点で、相手も理解すると言うこの能力は、言い換えればーーー相手に自分の言った事を"強制的に"理解させる。
そしてーーーとある魔法は、通常の魔法より桁違いの威力や応用力を備えている。
「具体的に何を持っていたかは、バレていなくて良かった」
アレはまだ、誰にも知られてはいけない。
私はそっと目を閉じ、師匠の最期の言葉を思い出す。
「分かっていたのでしょうーーー師匠」
「さようなら」でも「生きろ」でも、それこそ「愛している」でもなく。
『すまない』
あの場面で謝罪の言葉が出ると言う事は、そう言う事なのだ。
私が仕組んだ事なのだと。
これは私の復讐なんだと。
そして、あの片付けられた部屋を見るに、いずれこうなると覚悟はしていたのだろう。
「またいつかーーー地獄で会いましょう」
自己犠牲は天国だが、自死は地獄と聞いた事がある。
私は墓に向かって呟くと、その場を後にした。
今回の伏線
・過去編-「それで私達が?」の台詞に「先月」と言う言葉が出てきます。
・過去編-「毛むくじゃら…ね」で、ナギが壁を触ってます。
徐々にナギの黒い部分が出てきますね(゜∀゜)
前話に書いてある様に、これから最重要回が出てくる予定です。
ちなみに、過去編の重要要素は既に出ている
・ルカとの出会い
・「私」の登場
・師匠のと別れ
そして今後出てくる
・何故、風見はナギの事を忘れたのか?
です。
次の本編で明らかに…なるのか、ならないのか。
ちなみに次は小噺です。