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過去編-今、どちらに!?

いや、今はそんな事より、と私は現実へ戻ってくると言った。


「救助までどれくらい時間がかかるか分かりません。出来るだけ体力を温存しましょう」


行き止まりになっている奥から現在位置まで、あまり距離がない。

この場に閉じ込められたのは私、監督、サトリの目撃者の三名。道を塞ぐ瓦礫の隙間から空気の移動はあるが、精神衛生上の問題も考慮すれば、長くて48時間。救助は来るだろうが、外の様子が分からない以上、どれ程かかるか分からない。


と、その時だ。ビィー!ビィー!ビィー!と言う音が瓦礫の向こう側から聞こえてきた。私は首を傾げ、他二名は顔を真っ青にする。


「メタンガスが…」


監督の言葉に、私も固まる。え、嘘でしょ?


「さっきの爆破のせいで、ガスの排出用の管が壊れたんだ…こっちに流れ込んでくる」


先程から聞こえる警告音が、近づいてくる。どうやら等間隔に設置されている感知機がガスに反応しているようで、警告音が近付いてくるのは、ガスが此方に向かってきている事を知らせていた。


「ちょっと待って…このままガスが流れ込み続けてきたらーーー」


閉じ込められた空間。空気中の酸素濃度は下がっていき、いずれ酸素欠乏症になるだろう。

通常、空気中には酸素が21%程含まれている。その濃度が下がり、16%では血圧上昇などの自覚症状が現れ、6%以下になると意識を失い、昏倒、呼吸停止、心肺停止と言った致命傷となる。


「まさか、こんな事になるとは…」


臍を噛む私。サトリによる爆破被害は報告されていたではないか。見通しが甘かった。

と、その時である。ザザッと無線から音がした。バッと三人が一斉に無線を見る。


『ザザッ…ナギっ…!聞こえるか…っ!!』


「師匠っ!!」


聞こえてきた声に、私は歓喜する。


「今、どちらに!?」


『坑道の、中だ…。無線が繋がった、ん…距離的に…近い、はず』


坑道の中だと?もしかしてガスの中、こちらに向かってきているのか?

私の疑問は放置して、師匠は言葉を続けた。


『ナ…、此処には、ドゥンケ、ルシュタールがある…。採掘ほ、どの量はな、いようだが…僅か、に反応があ…た』


「ドゥンケルシュタール!?」


思いもしなかった単語に、私は驚愕する。チラッと二人を見ると、監督達も驚いていた。その様子から察するに、ゴールドラッシュ(歴史)が嘘か。


私は「総帥めっ!」と呟いた。今回の任務に何か裏があるとは思っていたがっ!


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