過去編-絶対に行く!!
ナギが風邪をひいた。
「お腹でも出して寝てたんでしょ!」
「昨日、暑かったしな」
と、言いながらルカと風見は、寝込んでいるナギを甲斐甲斐しく看病していたのだった。
「うぅ、頭痛い……」
そんな二人の言葉が響いたのか、ナギは頭を抱えた。風見が額に手を当てると、熱が高い。演技ではないようだ。
風見は「これじゃ無理ね」と残念そうに首を横に振る。
「先に私達で行ってくるわーーー残念だけど」
「あぁ、そうだなーーー本当にな」
「うぅ、私のマンゴー…」
ナギの呟きに「やっぱり狙っていたか」と二人は溜息を吐いた。床に書類が散らばっており、昨夜ベッドの中で読み込んでいたと窺える。おそらく、さっさと任務を終わらせて遊ぶつもりだったのだろう。
ナギは熱のせいなのか、はたまた本当に悲しんでいるのか分からないが、目を涙で潤わせ
「絶対に行く!!」
と声を張り上げたが、次の瞬間くたぁと布団に沈み込んだ。けほっと熱の篭った咳が出る。
ナギのマンゴー発言が何処から出てきたかと言うと、今度の任務地である菴羅がマンゴーの生産地だからである。
「けどマンゴーて、夏じゃない?今は秋よ」
「菴羅はこっちと真逆の季節なんだ。向こうはこれから暑くなるぞ」
ルカの指摘に、風見は「あ、そっか」と納得する。
「菴羅は反対側に位置するものね」
「だからわざわざ、こんな僻地にまで来たんだろ」
そう言って、二人は現在、火炎の国にある転移装置の前にいた。これは異世界や遠方へ転移する用の物だ。
氷雪や疾風、大地と言った同じ大陸内の移動なら、城やアルカナ本部にある転移装置で充分なのだが、惑星の裏側にある国には行けなかった。
「あんたの能力でも無理なの?」
「あぁ、ついでに異世界間の移動も無理だ」
そう言って、ルカは不意に思い出した。以前、ナギが言っていた物の事だ。
「リヒトシュタールを使えば、もしかしたら可能かもな」
まぁ、あのレアメタルが手に入るとは思わないが。
ルカはそう呟くと「準備出来ました」と呼ばれ、転移装置の入口へと向かったのだった。
暑い…と到着して、風見は開口一番にそう言った。
「流石、南の島」
「日差しがキツイ…」
日傘でも持ってくれば良かった、と風見が呟く。チラリとルカを見た。
「これからまた移動でしょ?あんたが前もって行っててくれれば楽だったのに」
「俺を足として使うな。それに、転移装置の都合上、そう何度も起動出来るかっ」
ルカはフンッと鼻を鳴らす。
今回は滅多にない、ルカ&風見編。
もちろん、ナギも後から出てきます。
解説回は9/17 公開予約済み




