Present 3
「はぁ!? でも印なんて付けてないぜ」
記憶を探ってみたがあの紙に何かを書いた覚えがない。
「この血が印だ。自分の血を少しでも付ければいい。…その様子だとお前はこれを読んでいないみたいだな」
ルナが契約書に付いた倫護の血を指差して言った。
「そんな! じゃあ、そのせいで俺はここに来たのかよ! それじゃ…」
そうだ、とルナは頷いて倫護が次の言葉を口にするのを待った。
この後を聞くのが恐ろしい。
と思っていた倫護の顔をルナは読み取ったからだ。
ようやく決心したのか、倫護は顔を上げた。
「…それからどうなる?」
「契約書には〔世界を救う力を手にする事ができる。 その力で世界を救う事ができたらあなたの望みをなんでも一つだけ叶えて差し上げます。〕と、書いてある。力はワタシが与える」
「世界を救う!?」
あまりにスケールが大きな話でいまいちピンとこない。
確かに今、地球はいろいろ問題を抱えているがそんなの一人の力でどうにかなるような問題ではない。
「悩んでもどうにもならないぞ。お前は契約したからな。こうなってはあの竜王でも手がだせないからな」
こんなのありかよ。俺は世界を救うとかそういうの柄じゃねぇ。
そんなことを考えているとルナが腕を胸の位置まで上げて何かをつぶやいた。
「汝、願い、我を呼んだ。我はつれていこう」
ルナがつぶやき終わると倫護は両手に強い痛みを感じた。
「!!!」
手が喰われている!!
倫護の両手に綱引きの綱みたいな生物がうねうねしていた。
そいつは先に鋭い牙を持っていて凄まじい勢いで倫護の両腕を喰らっていた。
「うあ゛あ゛あぁぁ゛!!」
今まで経験したことのない痛みに膝を折り地面に倒れた。
振りほどこうとしてジタバタしてみるも奴の食欲は一向に治まりはしない。