Present 2
俺は…何をしていたんだ?
……思い出せない。
……ん?
遠くに誰かいる。
淡いオレンジ色の髪、翡翠色の縦に割れた瞳がこちらを見た。
目が合った。
もしかしらたらそう思っただけかもしれない
しかし奴は確実にこちらの存在に気づいていて倫護に近づいてきた。
飛んでいる。翼を持っているみたいだ。よくみると脚は獣だ。
そいつは倫護の手前で止まった。
二人はしばらくお互いを観察するように見ていた。
「ほぅ。お前は逃げないのか? ワタシが恐ろしくないのか?」
しゃべった。どうやら人並みの頭脳は持っているみたいだ。
「俺がビビって逃げてほしかったのか? 翼の生えた人間なら創れるらしいぜ?」
「言ってくれるな。人間め」
奴は口調からは怒りなどは感じられなかった。
むしろ喜んでいるようだった。
「お前はなんだ? それにここはどこだ?」
今度は倫護が質問した。
正直わからないことだらけだ。
「ワタシは“ルナルド”ルナでいい。ここは“間の世界”お前らが契約書に印を付けたときにだけ開かれる世界…契約者とワタシだけの世界だ」
ってことは俺が契約書にサインしたことになるのか? そんなの貰った覚えがない。
ルナは倫護のそんな表情を読み取ったのか、まさか、という顔をして一枚の紙を取り出した。
「お前これに見覚えは?」
どこかで見た覚えがあると思ったらピエロから貰ったビラだ。
ご丁寧にコップを割ったときに付いた俺の血まである。
「あるぜ。それがどうかしたのかよ?」
「これがその契約書だ」