Present 1
ん? なんだ?
体に違和感?
そう思って目をあけて見ると目の前には倫護の顔を丹念に撫でる女がいた。
「い!? 何してんだ!!」
顔を真っ赤にして反射的に女を突き飛ばした。
だって自分の部屋に見知らぬ女がいたらテンパるだろ?
女は淡いオレンジ色の長い髪をしていている。
その碧眼は見ていると吸い込まれてしまいそうだ。
見た目倫護より年上くらいだろうか
泥棒かと思ったがすぐに違うとわかった。泥棒なら金目の物を盗んですぐで出ていくだろう。
それをしないということはこいつ誰だ?
友達や知り合いにはこういうヤツはいない。
「だっ誰だ!? お前!」
この奇妙な女は何事もなかったかのように立ち上がった。
「お前……ワタシを忘れたのか?」
忘れた? そういえば見たことあるような…
そうだ! 夢に出てきた女だ!!
でもなんで夢の女が現実にいるんだ?
「……お前、ちょっと頭を貸せ」
女はいきなり自分のでこと倫護のでこを重ねた。
「なっ…!?」
突然の出来事に慌てた倫護だがすぐに身体の自由が利かなくなり大切な物を次々と壊されていくような不快な気分に襲われた。
「なっ……何をした!!」
女が頭を離すと身体の自由が利くようになった。
女は、やっぱり、という顔をしてため息ついた。
なんだよ。と言いたかったがそうする前に女が話し始めた。
「お前みたいな奴は初めてだ……仕方ない」
女は指先で、トンッ、と倫護のでこを押した。
その仕草が倫護にはなぜか遥か上空を飛んでいる飛行機からいきなり突き落とされたように感じた。
どんどん落ちていく。
頭がぐらぐらする。
気が付くと辺りには闇が広がっていて倫護はそこにポツンと立っていた。