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いちごひめ

作者: 水野葵

 ふゆの おわりの ことでした。 おとうさんが ぼくに いちごの なえを くれました。 ちいさな ちいさな なえでした。 ぼくは そのなえを しろい はちに うえました。


 なえは おおきく なりました。 おおきく おおきく なりました。 ぼくが おみずを いっぱい あげたからです。 なえは とっても おおきく なりました。 そして ちいさな つぼみを ひとつ つけました。


 はるの はじめの ことでした。 いちごの はなが さきました。 ちいさな ちいさな はなでした。 はなの うえには しろい おんなのこが すわっていました。 とっても ちいさな おんなのこです。 おんなのこは ぼくに 「こんにちは」 と いいました。


 おんなのこは いちごひめと いいました。


 ぼくは いちごひめと おともだちになりました。 とっても なかよしな おともだちです。 ぼくと いちごひめは いっしょに あそびました。 たくさん たくさん あそびました。 いちごひめは ぼくに 「あたしたちは しんゆうよ」 と いいました。


 はるの おわりの ことでした。 いちごひめが きえてしまったのです。 ぼくは いちごひめを さがしました。 いっしょうけんめい さがしました。 でも いちごひめは どこにも いませんでした。 ぼくは かなしく なりました。


 ぼくは なきました。 たくさん たくさん なきました。 あんまり ないてばかりいたので ぼくは ちいさな いちごが なっていることにも しばらく きづきませんでした。


 いちごは おおきく なりました。 おおきく おおきく なりました。 ぼくの なみだを いっぱい あげたからです。 いちごは とっても おおきく なりました。 そして まっかに じゅくしました。


 ぼくは いちごを たべました。 おみずで あらって たべました。 とっても あまい いちごでした。 ぼくは おくちを まっかに そめて ゆっくり ゆっくり たべました。 とっても おいしい いちごでした。


 そして ぼくは ぼくに 「しんゆうよ」 と いった おんなのこを おもいました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いちごひめとの思い出に、いちごを食べることでけじめをつけているように思えました。穏やかな雰囲気でもちゃんとホラーになっているのが凄いです。むしろこの童話みたいな雰囲気が、より狂気を感じさせ…
[一言] TwitterのRTありがとうございます。 短編のこちらの作品を読ませて頂きました。まるで絵本を読んでいるかのような感覚になる作品。 ただ、この作品を深読みした時、「ぼく」は最初はこのいちご…
[良い点] 「ぼく」がいちごひめを食べるシーンに恐怖を感じました。食べているものがただのイチゴではなく、本当はもっと取り返しのつかないことになっているんじゃないかと、不安になりました。 [一言] 全体…
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