表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女と黒猫  作者: M.H
彼女は黒猫 (下)
39/54

39話『寝巻』

 午後二十三時――。

 洗い物が終わってしばらく後。三月はお風呂に入っていた。

 こんな夜遅くにお風呂に入ると近所に聞こえたりする。けれど幸い隣の部屋は空き部屋だ。

 ちょっと前に引っ越しの業者が来ていたのを見た。くたびれた顔をした男性がたぶん住んでいた。

 そういえば三月はシャツと、洗濯したスカート姿だった。あれ意外服は無いと思う、さすがに寝るときもその姿というのはなんだかなぁと、俺は思いちょっと訊いてみることにした。

「部屋着、必要だったら買う?」

 そうモザイク越しに話しかけてみる。互いの表情も見えない。輪郭の薄い肌色が少し見えるだけ。その方が妙に心をくすぐる。

 キュッという蛇口が回される音でシャワーが止まる。

「修哉さん?」

「あぁ、ごめん後での方が良い?」

「いえ、大丈夫です、続けて下さい」

「そうか、で、部屋着とか必要だよな?」

 部屋着が必要な関係とは一体。そう思ったがしばらく居候するつもりならあった方が絶対に良い。他意はない。

「今週末にでも買いに行くか」

「い、良いんですかそんな。迷惑じゃ」

「いいから、仮にも同じ屋根の下で暮らしてんだから気なんて遣う必要ないからほんとに」 男という生き物は可愛い女の子に頼られたい訳だ。

「……考えておきます」

「了解」

 それから二十分後。

「あの」

「どうした?」

「そろそろ上がるので、そこに居られると出るに出られないので……」

「あぁ、ごめん。ちょっと寝てた」

 俺は申し訳なさそうに風呂場から逃げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ