第一章 魔人族の国 四
扉を開き中へ入ると薄っすら光るランプがテーブルの上に置かれていた。
「いらっしゃい」
奥の方から、魔術師を連想させる服装を身に纏う老婆が姿を現した。
どんな魔族なのだろうか。とそう思ったところで...。
「私はね、占い師をやっている小悪魔さね」
心を読まれた!?内心ドギマギしながら表情には出さす、問いかけた。
「ここの鑑定屋ってどういうところなんだ?」
鑑定屋には様々な種類があることを事前にゴルドから聞いていた。
相手の未来が見える未来師または過去を見ることが出来る過去師、相手の能力を見ることが出来る能力師といったその者の人生を変えてしまう鑑定屋もあれば、明日の天気を知ることが出来る天候師や相手の健康状態が分かる状態師という一見ぱっとしない鑑定屋もある。
「ここはさね、相手の称号を見ることが出来る鑑定屋さね」
称号かぁ...。ぱっとしない鑑定屋だったことに少し落ち込むが自分のことを知る機会だし、聞いてみようかな。
「そしたら自分の称号を鑑定してもらえないかな?」
そう聞くと老婆をニタリと不気味に笑う。
「だったら代価を何かくれないかさね」
代価かぁ...。詰まるところ代価=物なのであるが自分には手持ちがない。
何か何かないかと色々服の中を探すがなかった。
「すまない、代価を払おうかと思ったが手持ちがなかった」
すると老婆は、こちらを指差した。
「君の髪の毛を一本もらえないかさね」
「んっ髪の毛一本でいいのか?」
「いいさね」
簡単に取引が付いたことに驚いたが、要求されたものが髪の毛一本を老婆に渡した。
「ならそこに座りなさいさね」
老婆が椅子に座る様に進めた。
アミーラは、椅子に座るとあることに気づいた。
テーブルに六芒星の印が施されており、その中心にランプがおいてあったのだ。
「私の占いはさね 、ランプを使う占いさね」
そこからランプの占い方法を教えて頂いた。内容としては、こんな感じだった。
六芒星から力をもらい、その力をランプへと流し込む。ランプの中にある火が様々な形へと変化し、変化したものの形が称号を表すといった占いらしい。占いをする間は、アミーラ自身掌に六芒星を書いておくことで占うこと出来るとのことだった。
占いが始まると、六芒星が微力に輝き始め、掌に書いた六芒星も光始めた。
あっという間ではあったが、直ぐに終わった。
結果はすぐに出るということなので聞いてみることにする。
「どうだった?占い師さん」
そう聞くと目の前の老婆は、顔を真っ青にしており額から汗が滲んでいた。
「ふ……」
「ふ??」
額の汗を拭いながら少し落ち着かせると。
「そなたの占い結果さね、中々怖いものが出たさね」
「へぇ~どんな称号だったんだ?」
「の、呪われた復讐魔さね」
「呪われた復讐魔ってどんな称号なんだ?」
「それはさね、類を見ないほどに復讐欲が強いものが手に入れる称号さね」
「昔話をするさね、一人の魔族がその称号をもって魔王になったさね」
「その魔王は、復讐欲があまりに強すぎために、仲間の魔族を死地へ向かわせることさせ何も思わなかったさね」
「苛烈な魔王の影響化により人族も魔族、他種族も被害を被ったさね」
「まさかこんなことになると思わなかったその当時の魔神様がその魔王を倒すことになるさね」
「だけど倒される前にその魔王は、復讐心をどこかに託して倒されたそうさね」
「それでこの話は終わりさね」
そう締めくくると老婆をこっちを見ていたが、すぐに立ち上がり...。
「今日は、閉店さね。出ていくさね」
こうしてアミーラは鑑定屋から出るのであった。
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