第一章 魔人族の国 三
アミーラとゴルドは供に石畳の廊下を歩く。
石畳を照らす明かりは、窓から入る光であったが雲より高い位置に存在する赤く燃え続ける炎の玉とその横に存在する漆黒色に燃える黒色の玉によって室内は照らされていた。燃え盛る炎の玉が二つ存在している。
片方の赤く燃える炎の玉は、『デビルノア』以外にも全世界共通に照らすものらしいがもう一つの黒色の玉は魔神によって作られたため、魔族が住む土地以外には見ることが出来ないらしい。
燃える玉を尻目に石畳の道を真っすぐ進むと魔人で賑わうメインストリートが姿を表す。
そこから見えるのは、上半身は動物のような形をしているのに下半身は人間の形を魔人達。逆に上半身が人間であるのに対して、下半身が動物なのであった。また、魔人達だけに留まらず魔物といった者も沢山いた。
見れば見るほど恐ろしい光景広がっていると一瞬だけ思ってしまったが、よく考えれば自分も魔人じゃないかと苦笑いになる。
「アミーラ様、何かありましたか?」
「いや、なんでもない」
苦笑いしていたところをゴルドに見られてしまったかな。
「先に進もう」
「畏まりました。アミーラ様」
魔人達で賑わうメインストリートを歩き周りに立ち並ぶ店を流し目で捉える。
食べ物を飲み食いするところがある飲食屋、こん棒や剣・オーブなどを売る武器屋や目玉やどこかの乾燥した苗木などを売る雑貨店。喧嘩屋という俺に勝ったら〇〇といった物騒なものまであった。この国における通貨は主に持ち物による物々交換ということをゴルドから聞いていた。
「んっ?」
メインストリートをある程度歩いたところで、薄暗い路地が目に入った。
「ここは一体どんな場所なんだ?」
ゴルドは一瞬考えた素振りを見せたが、すぐにこちらに口を開いた。
「ここは、奴隷区と呼ばれる場所であります」
「へぇ~え!?」
「ここに運び込まれる者は、主に主人を殺した魔人、魔族達でございます」
「主人を殺せる魔人って……結構やばい奴らなんじゃ……」
「主人を殺せるといっても力を持たない主人が運悪く格上の魔人や魔族を召喚したことなどが原因で殺されたケースがほとんどでございますよ。」
「そ、そうなんだ……」
もし呼び出せることが出来るのなら試してみようかなと思った矢先に、この事を聞いてしまい何ともいえない感じになった。
(怖いことを聞いたな。使い魔としての召喚は当分やらないようにしよう)
「少し奧に進んで見ますか?」
表情を変えず、そういうゴルドはどうするかをアミーラに聞いてくる。
「あぁ、行ってみるか」
奧に進むことを決意して奴隷区へと足を運んだ。
進むとガラリと雰囲気が変わった。血生臭いを匂いはさておき、並ぶ店が異質だった。
店に並ぶのはメインストリートのような生き生きしたものではなく、憎しみで染まった目を向ける魔物や魔人が鎖に繋がれており、静まりかった雰囲気だけでどことなく恐怖を覚える場所だった。
周りを見れば見るほど、気分が落ち込んでしまうところであったが心の奥底では何故か心地よく感じてしまう自分が怖く感じる。
しばらく進むと、突き当りにとあるお店にあった。
「鑑定屋……?」
ボロボロの屋根に風通しが良さそうな如何にもボロ屋敷といった外見がある。このお店がやっていないのではと思わせるような感じを出ていたが、内部で薄暗く光るランプがで見えた開店のシンボルが見えたためやっているだと思う。
「入ってみようか、ゴルド」
そういうとゴルドは軽くこちらを見ると軽くを頭を下げ付いてくるのだった。
読んで頂きありがとうございます。
世界感を出すのが難しいと思い始める今日この頃…。