その26「平凡な日常」
◇兄妹、居間にて
兄「もうすっかり元気になったみたいだな」
妹「一時はどうなるかと思ったよ」
兄「病院で注射打ってもらったらすぐ治っちまうんだもんな。まったく、心配かけさせやがって」
妹「別に心配してなんて言ってませんけどー」
兄「うん、口答えできるぐらい良くなったんならもう安心だな」
妹「もう」
妹「……ん、ねえねえ、このチラシ見て」
兄「なになに……って、ペットショップの広告じゃないか」
妹「そうっ! 最近兄さん家に帰ってくるの遅いし、家で一人待ってるのって寂しいんだよね」
兄「遅いって言っても七時までには帰ってきているだろ、それに家にはミニ妹もいるじゃないか」
妹「ああ、あの子ね。そういえばここのところ見かけないなー」
兄「お前の分身みたいなものなんだろ、いいのかそんな扱いで……」
妹「平気へーき、仮にも私なんだし、どこかで太ましく生きているよ! あ、今の太ましくってのは体形的に太っているって意味じゃなくてね―――」
◆ミニ妹、宇宙船にて
艦長「まさか、たった一人で我が軍隊を壊滅に追い込むとは……」
ミニ妹「ふぅ、まったく数だけは多くて正直骨が折れたよ」
艦長「ぐっ…、なぜだ、地球にこれ程戦闘力が高い生物は存在しないはずだぞ……」
ミニ妹「ふふ、それはちょっと調査が雑なんじゃない? 地球には私よりもすごいのがゴロゴロしているよ」
艦長「……やれやれ、こいつはお手上げだ。いいだろう、降伏だ。全艦に通達、“撤退する”と」
ミニ妹「なに寝言ほざいているの?」
艦長「へ?」
ミニ妹「全員生きて返すわけないじゃない」
◇兄妹、青空のもと
妹「ねぇ兄さん、そういえばもう三月なんだね」
兄「ああ、だんだん暖かくなってきて過ごしやすくなったな」
妹「兄さんはもう春休みだし、私ももうすぐ春休みだよ!」
兄「だな、じゃあまたどっか旅行に行こうか」
妹「賛成ー!」
兄「うん、春だし、有名な桜とか見に行ってみるのはどうだ?」
妹「えー、兄さんってそういうキャラじゃないでしょ」
兄「キャラってなんだよ」
妹「“花より団子”ってことっ! 私もね」
兄「はいはい、じゃあなんか美味そうなご当地名物でも調べるとするかな」
妹「それは抜かりなく、もうすでに調べておいたのだ!」
兄「おいおい、じゃあもしかして行き先まで決まってるのか?」
妹「ふふん、その通りなのですよ」
兄「やれやれ、旅行の支度もこれくらいテキパキやってくれればいいんだがな」
妹「もちろんやりますとも、いつもやっているでしょ?」
兄「……まあいいや、とりあえずは今日の夕飯だ、何食べたい?」
妹「うーん、そうだなぁ―――」
まだ少しだけ寒さが残る季節
今日も二人は仲良く肩を並べ
並木通りを歩いていくのであった。




