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その22「クリスマス・イブ」

◇兄と妹、玄関にて



妹「じゃあ兄さん、行ってくるね」


兄「ああ、気をつけてな」


妹「うん、明日の朝には帰ってくると思うから」


兄「朝は寒いから気をつけるんだぞ」


妹「はーい」





◇兄、居間にて



兄「さて、どうしたものかな」


兄(まさか妹がクリスマス・イブの夜を友達の家で過ごすなんて言い出すとは…)


兄(せっかくいろいろ準備していたというのに…)


兄(仕方ないからクリスマスケーキは妹が帰ってくるまで冷蔵庫に放り込んでおくとして)


兄(クラッカーや飾り付けは年末に活躍してもらおう)


兄「だが一番の問題は……」


兄「この“サンタさんからのプレゼント”をどうするか、だな」


兄(俺の予定では寝ている妹の枕元に置いて、朝に起きて喜ぶ妹の顔を拝む予定だったのに…)


兄(ああ、どうしたものか)


兄(友達の家から帰ってきて、部屋に戻ったらプレゼントが置いてある。……なんてぜんぜんクリスマスっぽくないのではないかっ!?)


兄(そんな感じでプレゼントをもらってもあんまり嬉しくないのではないだろうか…)


兄(いや、でもいざ帰ってきてプレゼントが無いなんてことになったら…)


兄(泣くだろうな、間違いない)


兄「あいつ、プレゼントけっこう楽しみにしてるっぽいしなー」


兄「てか、なんでよりによってクリスマス・イブの夜を友達の家で過ごすんだ!」


兄「まったく!………………いや……まさかな」


兄「……まさか、友達って、彼氏とか…」


兄「いやいやいや、だってあいつまだ中学生だし、いくらなんでも早すぎるだろ」


兄「……いや、でも最近の若い子は早熟だって言うし」


兄「待て待て、それを言ったら俺だってまだ若い部類だろうが! そもそもなんで俺はクリスマス・イブに自宅で一人、妹のプレゼントの心配をしてるんだ」


兄「……」


兄「あ…」


兄(そうか。そういえば、あいつが家に来る前はクリスマスプレゼントなんて買ったことなかったな)


兄「……ふふ」


兄「思えば今年は俺のサンタデビューの年なんだな」


兄(うん、だったら)


兄「今年からクリスマスの夜はトナカイと過ごすってことかね」





◇次の日



兄「んん……あれ、いつの間にかコタツで寝ちゃってたなのか」


兄「ああ、もう七時か。あいつが帰ってくる前に朝ごはんの支度を―――ん?」


兄「なんだこれ」


兄「プレゼントの箱? 俺が買ったやつじゃないし、なんだこれ」


兄「メッセージカードが付いてる」




兄「…………ふふ、まったく」





玄関の鍵が開き、扉が開く音



妹「ただいまー、兄さん。ちゃんと起きてる?」


兄「起きてるよ、おかえり」


妹「外すっごく寒かったよ……ねえ見て、外」


兄「なんだ、雪が降っていたのか。そりゃ寒いわけだ」


妹「ホワイトクリスマスってやつだね、兄さん!」


兄「ああ、珍しいな」


妹「さてさて、じゃあ私は部屋に行ってこよーっと!」


兄「おい、まずは手洗いうがい」


妹「はいはい」


妹「ねえ兄さん」


兄「ん?」


妹「兄さんはさ、サンタクロースっていると思う?」


兄「……いない、と思ってた」


兄「でも、やっぱりいるもんなんだな、本当に」


妹「ふふっ、良かったね、兄さんっ」


兄「ああ!」





【MerryChristmas! 良い子にしていたあなたへ、美少女サンタさんからプレゼントです!】

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