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その15「分裂」

◇兄、妹の部屋のドアをノックする



コンコン


兄「おーい、今日はお前が夕飯作る日だろ。忘れてないだろうな」


妹「……、…。」


兄「おーい」


妹「…、…!…!」


兄「ん? 話し声と足音が聞こえる。誰か来ているのか?」


妹「……!!……!!!」


兄「喧嘩でもしているのか…? は、入るぞ」





◇兄、妹の部屋へ



兄「な、なななな」


妹「あ、兄さん」


妹2「兄さん来た」


妹3「おい、何かってに入ってきてんだよ」


妹4「うざ」


妹5「兄さん、どうしたの?」


兄「いやいやいや」


妹10「キョドってる! 面白ーい!」


妹12「突っ立っていないで入ってきたら?」


妹17「兄さんこっちこっちー」


兄「いやちょっと待ってって」


妹25「じゃあ兄さんも来ちゃったことだし」


妹34「そろそろ決着をつけますか」


妹43「今日“どの私”が夕飯を作るか!」


妹56「いい加減お腹空いちゃったよ」


妹69「私はオムライスがいいなー!」


妹78「親子丼の方がいいよ」


妹81「それはまた後で。今は誰が作るかを決めるの」


兄「ストーップ!」


………


兄「ようやく静かになったな…。まず言わせてくれ」


兄「どうしてこうなった」


妹99「わかんないよ。気がついたらこうなってたの」


妹101「そうそう」


妹112「だね」


妹138「なんか体も小さくなっているし」


妹154「分裂したって感じなのかな」


兄「ただでさえわけがわからないのに余計混乱してきた…」


妹166「ほら、もう兄さんなんてほっといて会議を再開するよ」


妹174「ここはやっぱりくじ引きがいいんじゃないかな」


妹189「てか今何人いるの?」


妹190「今から点呼しまーす!」


妹222「とりあえず整列してみよ?」


妹245「てかさっきから何言っているか全然聞こえないんですけどー!」


兄「親指くらいの大きさの妹がアリのようにウジャウジャとひしめき合っている……」


妹256「アリなんてひどーい!」


妹261「ちょっと押さないでよ!」


妹277「たいへん! 一人潰れている!」


兄「あー!もう! なんで声のボリュームだけはそのままなんだ! 近所迷惑だから一旦静かに!」


………


兄「……よし、じゃあ代表として君だけ喋ってよし」


妹15「了解!」


妹283「ぶーぶー」


妹296「えこ贔屓はいけないんだー」


兄「む」


妹283&296「うわー持ち上げないでー!」


兄「……まず君たちがさっきから話していることだけど、今日の夕飯は兄さんが作るから」


妹15「いいの? やったー!」


兄「じゃあ兄さんが夕飯作っている間にもとの一人に戻っていてくれよ」


妹15「努力はする。でもダメかもしれないからミニ妹用に大体500人分の夕飯を所望します」


兄「500人分って……。じゃあ一つのお皿に盛っておくから自分の分を各自取っていってくれ」


妹15「それだと誰か多めに取ってっちゃうかもしれないじゃん。平等的じゃない」


兄「いやいや、じゃあどうしろっていうのさ」


妹15「うーん。たしかペットボトルのキャップがたくさんあったよね」


兄「それにちょっとずつ盛れっていうのか?!」


妹15「分裂しても私は私だよ。一部の私しか愛してもらえないなんて日には兄さん寝首を掻かれるよ」


兄「ああ、なんて悪夢だ…」





◇兄、台所にて



兄「おいおい、まさか本当にペットボトルのキャップに夕飯を詰めていくのか?!」


兄「こんなの絶対無理だって……」


兄「……でも、可愛い妹のためだ。仕方ない、やってやろうじゃないか!」







妹「――ん、――い―んっ!」


兄「ん…」


妹「に―さ―、兄さんっ!」


兄「あ、あれ? 俺……」


妹「台所で倒れていたんだよ、ビックリしちゃったよ」


兄「ああ、そうか。また変な夢を見ていたんだな。はは、まったく」


妹「なんか変な病気じゃないよね? 今から病院行こ?」


兄「大丈夫だよ。ちょっと寝ぼけてペットボトルキャップ500個にご飯を盛ろうとして疲れて倒れただけだから」


妹「そっか。ごめんね兄さん、無茶な要求しちゃって」


兄「ははは。え?」


妹「でもなんとか元の姿に戻れたからもう大丈夫だよ」


兄「夢、だったんだよね…?」


妹「でもちょっと失敗しちゃって」


ミニ妹「一人だけ戻れずに残っちゃった」


兄「おいおいおい」


妹「だからこれからは」


ミニ妹「三人分の夕飯を作らなきゃね!」


兄「―――。」

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