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21.四人目の求婚者
スイマセン、短いです。
「え?」
リーフェの白い手を壊れ物のようにそっと持ち上げて―――アルフォンスそこに温かな唇を寄せた。リーフェはポカン……と口を開けたまま固まってしまう。
「……え?」
指に寄せられた唇に、再びボンヤリと目を落とす。彼女の頭に浮かんだのは『あ、手を洗ってないのに』という間の抜けた事だった。そんなリーフェの緑色の瞳が、上目使いに見上げる灰色の双眸とかち合う。
ドキリ、と心臓が跳ねた。
プラチナのような銀髪がキラキラと温室に差し込む光に輝いている。
美しいその光景に―――見慣れている筈なのに、呆けたままの彼女はつい見惚れてしまう。
魅入っている灰色の瞳がだんだんと近づいてきて。
気付いた時には、唇に柔らかな体温を感じた。
目を見開いたままのリーフェの唇に、優しくアルフォンスが口付けを落としたのだ。
ちゅっと、愛おしそうに音を立てて、それが離れる。
「リーフェ。誰にもお前を渡したくない。俺の物になってくれ」
体を起こし真正面から見据えたアルフォンスが―――再び顔を寄せてくる。
リーフェを囲い込むように、彼の腕がそっと背に回された……。




