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出会い
初夏。ジリジリと暑さが増してくるこの頃。
ショッピングモールにかかる冷房は寒いぐらいだ。
彼女…白岩菜穂は高校3年。
今後の将来に大きく関わる期末考査も一段落付き、自分へのご褒美にショッピングに来たのだ。
テストの成績は上々。志望大には合格できそうだと、彼女は心の中でガッツポーズをした。
ご褒美のゼリーをちょっといいやつにしようと考えながら、この後の予定を考えながら買い物を続ける。
ふと、買い物客の中に一際目立つ青年と少女がいた。
兄妹…ではないだろう。明らかに違う。
親戚という感じでもなさそうだ。
菜穂以外の客もその目立つ2人をチラチラと見ている人が少なくない。
青年は黒髪パーカーとごく普通の格好なのだが、少女の格好が凄い。
明らかに地毛の金髪、少しゴスロリチックな服。
喋っている言語は日本語。見た目に似合わず流暢に喋る。
注目の的になってもおかしくはないだろう。
だが、菜穂には関係のない人だ。そんなことよりも彼女は何ゼリーを買うかが大事だったのだ。
颯爽と買い物を済ませ、菜穂はショッピングモールに新しく出来た服屋に足を運んだ。