第零話:物語のはじまり
冒頭のみです。これからゆっくり連載していきます。
現世で亡くなった者は四十九日の旅に出る、と言われております。
人はその旅の終わりに極楽か、また地獄へ送られるか判断されるのです。
ところで、その旅の最中に三途の川というものがあるのをご存じでしょうか。渡し賃六文で向こう側に渡ることのできるそれは、皆がよく知っていることでしょう。
しかしその川、実はとてもとても長く、乗る合間も暇を弄ぶほどだとは聞いたことあるでしょうか。あまりに長い川渡に、船の上で”退屈だ!”と騒ぐ者も少なくありませんでした。
さて、需要があると供給がなされるのは世の常で。
来たる20XX年。今まで過疎地帯とされてきた三途の川付近に小規模ながら店が乱立するようになりました。スーパーマーケット、コンビニ、家電量販店やドラッグストア、などなど……。皆がその出来立てのお店で買い物をしていき、船の中でも暇をしなくなりましたとさ。めでたしめでたし。
……しかし、お店で買い物をするどころか、わけあって三途の河を渡る六文がなかったために、三途の川のそばに建てられたコンビニで働くアルバイターがここに一人。
今回はそのお話で御座います。
*このお話はフィクションです。作品の展開上、史実と異なった解釈になることが多々あると思いますのでご注意ください。