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グリーンティーパーティは突然に

本日快晴也。

雲ひとつない青空の元、孤児院内の敷地では子供たちの威勢のいい呼び声と、歓声や驚きの声があがっています。

絶好のグリーンティーパーティー日和ですね。ええ、まんまです。何か問題でも?


レシピ提供と引き換えに城の料理人たち(料理長含む)が焼いたふわふわシフォンケーキや口の中で緑茶の味が広がるクッキー、彩りも涼やかなみつ豆、大人の味の抹茶アイス等が小さめのサイズで各ブースに並び貴方をお待ちしております。愛らしい売り子さんのスマイルは0円ですよ〜。


先ずは入り口の受付で銅貨三枚(約300円ほど)を支払い、三枚綴りのチケットを貰い食べたいスィーツを一個一枚と引き換える仕組みです。

因みにチケットは一人六枚までですので悪しからず。

大人気ない貴族様が権力をちらつかせて喚いておりましたが、こちらは裏には王族や最凶魔王アゼルさん達や表には天使の皮を被った破壊神、もといセシルさんとその手下、いえ筋肉が素晴らしい騎士様アニキダンジュさんもいらっしゃるのですよ。

黒い羽の堕天使と筋肉ムキムキ仁王像のお二人を見た貴族様は青い顔でそそくさ会場内に入って行かれました。


ふ、勝ちました。



さて、勝利の余韻に浸ってる場合ではありませんね。売り子のお手伝いをしなければ。


「ニック、トースト、そっちはどうだ?」


「あ、リン姉ちゃんにリオ、セシリード兄ちゃんとダンジュ兄ちゃんも」


「見て見て、いーっぱい食べてくれてるんだよ。あっちのチビ達の方が人がもっと凄いけどねー」


あっちですか?

はうっ!!


そうでした!ミニマムウェイトレスちゃん達がいたのです!!孤児院のおチビちゃん達がウェイトレスさんのコスプレをしてるのです!

大きな白いリボンが可愛い深緑色の服のウェイトレスさん。同色のエナメルの靴。真っ白なフリフリエプロンと靴下、カチューシャ。

ふっはっはっは、完璧です。

服を作ってくれたアーヤさん率いるメイドさん達が、何かが取り憑いたかの様に鬼気迫る勢いで縫いあげる姿に引いたのは秘密ですが、いい仕事してます。気付いた方もいるかも知れませんが、深緑色は緑茶をイメージしています。

ほら、また一人街灯に集る虫の様にフラフラ寄ってきて……って!?ちょ!ストーップ!!




「はぁはぁ、お、お嬢ちゃん、お腹空いてないかい?

ほらココの実があるからあっちでおじさんと食べよう」


「ーーほぅ?」


ガキッ!グシャグシャ。


「ひ、ひいいぃぃぃぃぃ!?」


「わ〜、リンねーしゃま、しゅごいでしゅ!」


「おい男、覚悟は出来ているんだろうな。場合によっては貴様の脳みそが頭からはみ出る事になるぞ?」

(お客様、困りますよ。場合によっては出て行ってもらう事になりますよ?)



………久々の言語変換機能。


脳みそってなんですか?私危険人物じゃありませんか。(泣)

…… あ。皆さん蜘蛛の子を散らすように散り散りにいなくなりました。


ココの実はココナッツに似た実の中に薄水色の甘いジューシーな果実が詰まっており、柑橘系のさっぱりとした甘さは大人から子供まで人気のある果物ですが、とても固い。厚さ五センチの殻に覆われており刃の厚い専用のナイフを使いザクザクと缶詰の様に回しながら開けるのが一般的ですが、乙女に向かって悲鳴はないでしょう。

何ですか、お客様。隊員さん達がセシルさんを見るような恐れるような目は?

見なさい。ミニマムウェイトレスちゃん達もリオ君やセシルさん達も拍手しているじゃありませんか。ちょーっと素手で殻を砕いただけで酷いです。人権侵害です。

まぁとりあえずこのココの実はチビちゃん達の貢物チップとして貰っておきましょう。






「皆さん美味しそうに食べてますよ。…、わっ!?」


「リオ殿、足元には気をつけて」


抹茶カステラを食べながらキョロキョロと会場を見ていたリオ君が躓き倒れそうになりましたが、頼れるアニキ、ダンジュさんが危なげなく支え起こしました。

お礼を言うリオ君でしたが、またキョロキョロとし、首を傾げます。


「ダンジュさん。どうしてジルさんはいないのですか?」


「………自業自得です」


「あらホント。今日の訓練メニューの動物と戯れよう。癒しのスペシャルコースにそんなに出たかったのかしら?」


「セシリードさん。今日はハチもいませんがハチも訓練するのですか?」


「そうよ〜。今日はうちの連中とハチとの鬼ごっこよ」


「わ〜、楽しそうですね」


裏を読めばハチが隊員達を追いかけるんですよね?

おそらくミニサイズではなく通常サイズで。……隊員の皆様方のご冥福をお祈りしております。

ああ、そうそうジルさんでしたね。彼は緑茶の会、永久追放なのですよ。(入会してはおりませんが)

ジルさん、何て言ったと思います?


「奴は、“ げー、そんなしっぶいの飲むんですか?緑茶って何かおっさん?って言うかジジむさいですよね ” と言ったんだ。万死に値する」


「ここに来る資格が無いどころか、あたし達を敵にまわしたわね」


黒い笑みでセシルさんが、この次はあの世を垣間見ようスペシャルコースかしら?、との物騒な呟きが聞こえましたが、気の所為ではなかったようで横でアニキさんが震えています。ダンジュさん達隊員のとばちりが決定した瞬間でした。

私は助けられないので気を確かに持って下さいね。





母親に手を引かれた子供が小さな手に甘い豆が入ったパウンドケーキを持ち、モキュモキュと美味しそうに食べています。

彼方では休憩ブースと緑茶ブースが併用しており、椅子に座りながらマスターの入れたお茶が試飲出来ます。

おや?マスターが入れたお茶を飲んだ人たちの驚きの声が上がっていますね。

ふふ、何かいいですね。

のんびりほんわか、こちらまで幸せな気分になるのです。






グリーンパーティーも大盛況で終了し、次回はいつかというお問い合わせまで頂き嬉しい限りです。

また、変わった趣向で開催するのもいいですね。

ホクホク笑顔で後片付けをしている時にポツリとセシルさんが呟きました。


「………おかしいわ。こんな時間まで彼奴らがここに現れないなんて。天変地異の前触れかしら」


眉間を寄せ顎に手をおき思案する姿は何と言うか神聖?地上に降りた天使の様で、帰り際のお嬢様方も恋する乙女の眼差しでポーッとセシルさんを見ています。

外での訓練で日焼けもしてる筈なのに白い肌とツヤツヤの髪、解せません。どんなイケメンマジックですか?取り敢えずどこのトリートメントを使っているのか聞いてみましょう。



「トリートメント、じゃない。もうすぐ二百年祭だからな。奴等は追い込みの真っ最中だ」


「二百年祭って?」



ああ、そこから説明しなければいけませんね。




京都で抹茶スィーツを食べられなかった不満を文で解消してます。(笑)


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