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カミングアウトは突然に

いつの間にか50話です(((o(*゜▽゜*)o)))

30話ぐらいで終わるかなー、何て思っていた頃がありました。(笑)

???

気温は低くありませんよね?はて?



小さな震えが止まった手を見つめ首を傾げていた私をいつから見ていたのか、ロウカ王子が此方を静かに見ていることに気付きました。


「王子、寒くなってきたか?」


椅子からずれ落ちました。


「そ、そうきましたか」


ロウカ王子は呆れを滲ませながらも、微妙な生暖かい目で “ 先程のダイスの時と比べて貴女の中でどう違いますか? ” と言われ、“ これ以上は敵に塩を送るつもりはありませんので ”、とも言われましたが。

ダイスさんは隊長で元王子で、セシルさんは騎士団長でついでに緑茶の会の同志で。

そう言えばダイス隊長が同じように吹き飛ばされた時には心配しましたが、席を立とうとはしませんでしたね。一体何が違うというのでしょう?

画面にはセシルさんが思ったよりダメージが少なかったのか明るい声が聞こえてきます。





「ーーっって〜。油断したわー。アタシもお祭り気分で浮かれていたのねー。その剣を見た時に気付くべきだったのに。

ーーお久しぶりね。今はなんと呼ぶべきかしら?北の方」


「っ!?……分かったのか?」


「流石にその姿を見ただけじゃ気付かないけど、アタシが騎士団長だった時に何度も会ってるし、一回手合わせもしたし?第一そんなおおもの持ってるのアタシは一人しか知らないわよ」


その言葉にガイラルさんが目に見えてオロオロと慌て始め、剣を隠すように鞘に戻すと、グルグルと辺りを回り始める姿は普段の冷静沈着さがなりを潜め、まるでシベリアンハスキーの様で何となく可愛いです。ギャップ萌え?

見た目も合間って頬を染めるお嬢様方が増加中でございます。

暫くグルグルしていたガイラルさんがピタッと停止し、悲壮な表情を浮かべております。



「………一つ尋ねたい。我が主は気付いたと思うか?」


「へ?あ、あー、多分?だってほらそこ」


セシルさんの指差す方向には精霊カメラマンちゃん。


「……精霊?………何故我が主の魔力を纏っているのだ?」


「午前の部、見てないのかしら?アタシも詳しくは知らないけど精霊と魔法で繋がってメイン会場に精霊が見てるものをそのまま映し出しているらしいわよ」



画面には真っ青な顔のまま、グルグルと回り始めたガイラルさんが映し出されていましたが、またピタッと一時停止し、茂みの方向へと鋭い視線を向けるとそこにはセシルさんが。



「……何をしている?」


「いやー、忙しそうだったから、その隙に?」


ニヘラッと笑い悪びれもせず言うセシルさん。


「……バレてしまったことを悩んでいても仕方が無い。潔く制裁せっかんを受けよう。

たが、せめて我が主の物を手に入れてからだ」


「へえ?これリンちゃんが用意した物って分かるんだ?」


「……………………リンちゃん?」


「そ。リンちゃん。ちゃんと本人の了承済みよ」


「…………………ほう?報告にあったが、随分と我が主と親しくしているようだな?」



何気にガイラルさんの低い美低音ボイスが更に低くなったような?そして何気に離れた所にいるユグドラシルちゃんが涙目のような?



「リンちゃんとアタシはとぉーっっても仲良しよ。一緒にお茶したり〜、お昼寝したり〜、ご飯食べたり〜、この間は耳掃除もしてもらったわ〜」


「………コロス。………ん?耳掃除?」


「木製の細くって小さなスプーンみたいなのを使って耳を掃除するの。いつも使っている物より格段に奥まで届くし綺麗になるのよ。ふふふ、膝枕してくれながら掃除してくれるのー、いろんな意味で気持ちよかったわー」



しましたねー。こちらの世界は耳かきが無かったんで大変喜ばれました。普通は細い棒に柔らかい布をちま切って巻き付けてる物で掃除するらしいのですが下手したら布が取れ耳に置き去りに、何て事もあるそうです。

…わっはっは儲かる。売り出せば儲かりますよ!



「リ、リンさん?ひ、膝枕ってなんですか!?なに恋人みたいな事をしているんですか!?」


「?」



え?恋人?いやいや、前世であーん、は家族でよくしていましたし(セシルさんは家族では無いですよ)、父親に耳掃除もしていましたし(父親でも無いですって)、お茶を飲みながらお喋りしたり一口貰うのは常識ですし(常識ですか…?)



…………

…………あれ?はたから見たらバカップル?

いやいやいやいや!いつでもアゼルさんとかリオ君とか他にも周りに人はいましたし!ね、ねぇ?


「…アゼルを排除する前にとんだ伏兵がいたようですね。第一、」



「「アゼルは一体何をしていた(んですか)」」



あ、ロウカ王子とガイラルさんがハモった。



「アゼル?アゼルも耳掃除して……もらって無いわ。庇うわけじゃないいけどアイツ膝枕で寝ようとした瞬間に、辺り一面血の海にしてリンちゃんに制裁おしおきされたから」



アゼルさんとセシルさんの手合わせという名の殺し合いが勃発し、耳掃除ぐらいなら、と膝枕をして耳かきを持った私の膝が血塗れになり、周囲に血の匂いが漂い………正直思い出したくもありません。

眉を潜め額に手を当てたガイラルさんから残念なものを見た様な何とも言えない微妙な雰囲気が漂ってきております。



「……相変わらず残念な奴だ。しかしそのまま引き下がるとは思えんが?」


「あー、増血剤の研究中よ。ついでにリンちゃんから手合わせ禁止令が出たもんだから、今はアタシを毒殺しようと毒の研究にも勤しんでるわよ」



流石に周りの被害が大き過ぎて二人に禁止令を出し、これに国王様並びに大臣様方が号泣しながら感謝され、すっかり大人しくなったと安心してたのにアゼルさん、貴方何してるんですか!?

知人を毒殺なんて……しますね。何の迷いもなくアゼルさんなら無駄に優秀な頭脳をフル活用し証拠を残さず且つ、アリバイまで作って犯行に及びますね。後で一言釘を指しておかないと。



「ほう?知っているか?北は様々な鉱物が豊富だが中には七色に輝く石それぞれの色の中に七種類の毒が含まれていたり、温度と湿度の変化で鉱石自体が猛毒を発生するものもある。

ふむ、久しぶりにアゼルと連絡を取り合うのも悪くはないな」



ブルータス、お前もか。

(ガイラルさん、貴方もですか)



「……最も、五体満足だったらの話だがな。何、不慮の事故はつきものだ」


「わお。確信犯?ま、そー来なくっちゃ、面白くねぇよな」



ガイラルさんはグレートソードを鞘から抜き、セシルさんは剣を構えなおし見つめる先にはお互いの獰猛な笑み。


お互いが一気に詰め寄ると、上段からのガイラルさんの剣戟を受け流し、鍔迫り合いをする前にセシルさんが後方に飛び水の攻撃魔法を仕掛ければ、魔法剣で袈裟懸けに水を斬り裂きました。

左右上下、お互い入れ代わり仕掛け受け流すその様に思わず目を奪われる先から、一撃一撃繰り出す毎に速さが増しています。

ルトさんとダイス隊長の手合わせより段違いの速さと威力と流れるような技の応酬、しかも魔法まで入り混じり最早目で追うのがやっとです。私でこれですから他の人間達ひとには見えていないのではないでしょうか?




ん?

ーーーユグドラシルちゃん?


視界の端にユグドラシルちゃんが顔を青ざめさせ、手が体がプルプル震えている様子に初め二人の戦いに怯えていると思っていたのですが、よく見ると大きな薄いピンク色の瞳を更に見開き地面を凝視していたユグドラシルちゃんがこちらに向かって緊迫した声を荒げました。



「い、嫌、嫌ですの!!

主様ぁーーっ!!地面の中に何かいますの!!嫌な何かがいますのー!!」




ユグドラシルちゃんが怯えるなんて。

はっ!?もしかしてキングモグラの出現ですか?





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