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鉢合わせは突然に

三連休のツケが。

忙しいー。( ̄◇ ̄;)

…………いつの間にか争いが始まっていました。

石畳がめくれ観戦者を守るための防御壁にヒビが入り、大きな爆発音と共に噴水が破壊され、地面にはあちらこちらでクレーターが出来、空には魔力がぶつかり合いパチパチと光りまるで花火の様です。二対一の私怨、もとい攻防戦が繰り広げられています。




会場内に映し出していた内の一つがグッチョングッチョンのドボドボのブシャーッの恐怖映像に変わっていたのを真正面からまともに見てしまい、血の気が引き吐き気を堪えつつも慌てて他の精霊カメラマンちゃんとリンクしている間に別の場所に移動していたアゼルさんが戦っていました。あれは間違いなくレイラさんとルトさんですね。

今のところ若干アゼルさんが押され気味ですが地形や聖銃を上手く使い何とか持ちこたえている、と言ったところですね。……その分周囲の被害が激しいですが。

最早隠す必要が無いのか頭に血が上っているのか、お互い名前を呼び合ってます。他の守護竜達はいつかやって来るとは思っていましたが案外早かったのか、これでも我慢した方なのか。

本当っ、あいつらどうしてくれやがりましょうか?姿は見えないですが、確実にガイラルさんも居ますよね。

わっはっは……覚悟して下さいね♫






さて気を取り直して。

シオル隊長が城下町まで戻って来ていますね。すれ違った隊員さんが何か言いたげに口を開きかけ顔を歪ませていますが、先程ハムスターちゃんのところに居た取り巻きの一人でしたね。

……………言えない、言えませんよね。もう既に目的の物はアゼルさんの懐に入っているなんて残酷なこと言えませんよね。

あ、涙が滲んで前が見えなくなってきました。会場内でも彼方此方で声援が聞こえ、叔父様方やご婦人方が目にハンカチを当ててます。感動的で懐かしいようなこの感じなんだかな〜、うーん。…………思い出しました。この雰囲気は夏の終わりにある24時間のマラソンに似てるんですよ。

まあ、どちらにしろ不憫過ぎるので取り敢えず私は見なかった事にしましょう。






ところで私の宝箱はどうなっていますかね?

実は設定された範囲内に中庭がギリギリ入っていたのに目を付けてそこに隠しているんですよねー。

誰か気付いた人はいるんでしょうか?おっと、精霊カメラマンちゃんからのリンクコールです。……セシルさん?




「さ〜て、アタシの勘ではここにお宝が有ると言ってるのよねー。全く一つしか駄目なんて横暴だわ」



ふんふ〜んっと鼻歌交じりで辺りをキョロキョロと見渡し少しだけ立ち止まった後、ユグドラシルちゃんの方に向かって歩き始めました。



「いたいた、ユグちゃーん」


【あ、セシリードさん、お久しぶりですの。もしかしてセシリードさんも参加者ですの?】


「そうよ。建物内は流石に駄目だったけどこの中庭も範囲内だったから探しに来たの」



私はユグドラシルちゃんを見ることが出来ますが、会場内に居る皆様はセシルさんが木に向かって独り言を言っているようにしか見えないでしょうね。

観客席に座っている女の子が、“パパー、あのお兄ちゃん木とお話出来るの?”、と指差ししてますし。

日本なら変質者扱いです。

画面には一生懸命笑おうとして失敗しているユグドラシルちゃんと、話てるだけで宝箱の場所は聞いてませんよアピールのセシルさんがまだ話している最中ですが、ユグドラシルちゃんの目線が奥の茂みの方に向いています。バレバレですよ〜。



「さーて、そろそろアタシも探しにに行かないとね。うーん、こっちかしら?」


【あ、セシリードさん。そっちは駄目、駄目ですの!】


「えー?どうして?」


【あ、う。えっとえっと、そっちに行ったら悪いことが起こるかも知れない様な気がするですの!だから駄目ですの!】



………ユグドラシルちゃんは身振り手振りで如何にか茂みの方へ行かせない様にしていますが、完全に遊ばれてます。セシルさんはいじめっ子気質です。



「ごめんねユグちゃん。勝負の世界は厳しいのよ」


【駄目ですのー!えっときっと、頭痛が痛くなりますのー!!】



……うう、ハンカチ、ハンカチを誰か。もう充分です、慣れない嘘でテンパらなくてもいいんですよ。

セシルさんはユグドラシルちゃんの頭をポフポフした後、茂みの方へ向かいましたが、ちょうど反対方向から両手剣のグレートソードを片手で軽々と持ち肩下まで伸ばした瑠璃色の髪を一つに括りにした端正な顔の男性と鉢合わせしました、が。

最後の一人ガイラルさん、やっぱり参加していましたか。四人の中で割りかし、まともだと思っていたのですが皆さん自分の姿を変えた後、何故に愛用の武器を堂々と持っているんですかね?



「あら?鉢合わせ?」


「そのようだな、確認の為聞くが引く気は?」


「あるわけないじゃない」



セシルさんは好戦的な瞳で鞘から剣を抜きましたが拙いです、拙いですよ。魔力を使わない純粋な力勝負ではレイラさんには僅差で劣りますが、ガイラルさんは守護竜四人の中では総合戦闘力が一番高く、中でも剣捌きは神懸かり的な強さと剣舞にも似た鋭く美しい剣技を持った人を他に知りません。

ストーカーだし情けないし鬱陶しいし存在そのものを拒否したいですが、仮にも一族から選ばれた守護竜達は飛び抜けて優秀であり一族の次期族長候補でもあります。

……人間相手に手加減しますよね?ルトさんの件があり怖いのですが。




「いくわよっ、、と!」



守護竜相手とは知らないセシルさんは返答と同時に地面を蹴り素早い動きで接近しましたが、不用意に近づいたら危ないです!グレートソードは威力はデカいですがその分スピードは遅い事を計算し懐に入ろうとしたセシルさんでしたが、ガイラルさんの予想外に素早い動きで剣戟を捌いたスピードに僅かに動揺した一瞬の隙を着かれ、逆に蹴り飛ばされました。



セシルさんっ!!



思わず席を立ちかけ画面を見つめる先には地面に叩きつけられたセシルさんが直ぐに起き上がり距離をとる姿でした。

膝がまともに鳩尾に入ったかの様に見えましたが、蹴られると同時に同じ方向へと飛び衝撃を殺していたようです。



軽く安堵の息を吐き中途半端に浮いた腰を席に落ち着け、ふっと自分の手が少しだけ震えている事に気付き内心首を傾げました。……?少し寒くなってきましたか?






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