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小動物の躾は突然に

「ああいった大番狂わせがあるから面白いんですよね」


和かに笑ったロウカ王子でしたがダイス隊長が吹き飛ばされた時、声を上げたの気付いていますよ。本人は誤魔化すように話題を振りましたが男性のプライドというやつですかね?ふふ、何だか可愛いのでそのまま話を合わせてあげましょうか。


「トーナメントでは相性もある。実力を発揮出来ない者もいるだろうな」


「ええ、しかも今回は複数での戦いがあったりと見応えもあります。難点は経費がかかるところですが、経済効果は言うまでもありません。今後も開催したいですが一番問題の映像化はリンさんがずっと側に居てくれれば問題はありませんね」


「いつでも呼んでくれ。何処に居ようとも駆けつけよう」


ロウカ王子が黙り込みましたが何か間違えました?


因みに一番狼狽えると思っていた国王様は意外と冷静……でもなかったです。国民の前での失態はマズイのか王妃様に足をグリグリ踏まれていましたが、あれってピンヒールですよね?別の意味で叫び出しそうです。




私の癒しリオ君は医療班の方でお手伝いの真っ最中。映像に映し出されているものは見応えがあるものや笑える……いえ、ある意味笑えないものも多いですが、別の場所では本気の殺し合いに近い血飛沫が上がる斬り合いや魔法や剣で体が破損したりと、流石にお嬢様方や子供に見せるのが躊躇うのもあり映してはいません。

武術大会では死人は当たり前らしいですが日本での記憶を持っている私には日本の常識?倫理やら放送禁止やらが邪魔して戸惑ってます。これで平和な方って怖い。

開始早々、全身大火傷を負った選手が出た為リオ君が行きましたが、まだ帰ってこないところを見るとシャレにならない怪我人が次々運び込まれているようです。

意識を集中すると精霊ちゃんとのリンクした中では腕を切り飛ばされたり、雷で一部が炭化たりとシャレにならない物も多くて、初めのコンセプトの皆さんで仲良くゲームをしよう、は何処に行ったのでしょう?武術大会ってこんなに殺伐としていたって知っていたら提案何かしなかったのに。うう、痛いのもグロいのも大嫌いなのに自分が真っ先に見らなければならないというこの現実。





誰が知り合いは……そういえばセシルさんは何処にいるのですかね?

あ、ダンジュさんがいました。ダンジュさんの足元には数人男性が気絶しており、今対峙しているのは十代のまだ若い魔法師団の隊員さんですね。



「ダンジュ副…、、いえダンジュさん!お相手願います!」


「全力でかかって来い」


ガチガチに緊張している若い隊員さんにダンジュさんがどんと構え、お互い杖を持ち直すと、同時に呪文を発動しました。



「ファイヤーボール!(火の玉)」


「ウィンドアロー!(風の矢)」



お互いの魔力がぶつかり合い爆音と爆風が起こります。競り勝ったダンジュさんの風の矢が火を相殺し、更に隊員さんに向かいます。防御魔法は間に合いません!ーーパシッ、しなる様な音と共に風が消滅しましたがあのタイミングで防いだのですか?

ダンジュさんも同じように思ったのか、疑問の眼差しに隊員さんが腕輪を見せながら答えました。



「規定で認められているアイテム、僕は防御陣を組み込んだ護りのアイテムを作りました。一ヶ月分の魔力をつぎ込んでいるのでダンジュ副隊、、ダンジュさんでもそう簡単には壊せませんよ。……最もこんなに早く使うとは思っていませんでしたが」



軽く肩を竦める隊員さんの周りにはガラスに似た透明の防御壁が繭の様にぐるりと覆っているのが見えます。これはなかなか苦労しそうーー

ガアァアンンッッ!!ーーはい?


硬いもの同士がぶつかり合う音が響き、何とダンジュさんが素手の一撃で防御壁にヒビを入れていましたが、ちょっ!?素手!?普通は手が壊れるますよ!

一度の衝撃で蜘蛛の巣の様にヒビが入り呆気にとられた隊員さんの目の前でもう一撃。…えっと、完全に破壊されましたね…。



「な、なな、何で素手で壊すんですかー!!」


「?壊さなければどうしようもないだろう?」


「だ、か、ら!僕達は魔法使いなんですよ!?普通は魔法で防御陣を壊すもんでしょう!?」


「拳に魔法を込めたが?」


「駄目だ、この人と分かり合える気がしないーーっ!!」



頭を抱えてしゃがむ隊員さん。私もどんな凄い魔法対決かと期待してたのですが、結果は物理攻撃の勝利ですが納得いきません。

ダンジュさん、せめて拳ではなく手に持っている杖を使って欲しかったですよ。

隊員さんはギブアップ宣言をし、戦闘は終了。因みに宝箱の中身は繊細な刺繍が素晴らしいテーブルクロス、あれはメイド長さんの力作でしたね。…ダンジュさんと刺繍が全く似合いませんが、本人は何気に喜んでいるようなので良しとしましょう。






地味こどくな戦いをするシオル隊長はーー。外?

いつの間にか外に出て足早に進むシオル隊長に空から鳥型の魔獣が!!危ない!シオル隊長気付いて下さい!精霊ちゃん、警告を!


「アイストルネードッッ!!(56297歩!!)」


空から襲いかかってきた魔獣が氷の渦に巻き込まれそのまま凍りつくと地面に落ち砕け散りました。……無意識みたいでしたが、とりあえず何人たりともシオル隊長の行く手を遮ってはいけないのですね。






癒し、癒しが欲しいです。

さっきのハムスターちゃんは?……お?遂に魔法使いさんの到着ですね。



「やっときやがったか!おい、お前の魔法でこいつを拘束してくれ」


「何なんだ一体?それにこの人数は?お前らヤル気ある……の、か」



彼の視線の先にはウルウルつぶらな瞳の御使ハムスターい様。


「さあ!やれ、お前の出番だ!」


「ふ、ふざけるなー!!だったらお前がやれ!その腰の剣は飾りか!ああ!?」


「何だと!お前なんかこんな時にしか役に立たないだろうが!この役立たずが」


「はっ、剣振り回すしか出来ない脳筋が何言ってやがる」


「「「「………………」」」」



結果周りを巻き込んだ大乱闘。敵が一人、また一人と自滅していくのを静かに見つめるハムスターちゃんがそこにいました。




「……貴方達は一体何をしているのですか?」



ほぼ全滅した頃に疲れを隠そうともしない声が聞こえ、見ると眼鏡をかけた美形さんです。短髪で少し長めの前髪をかき上げ薄萌黄色の綺麗な髪を靡かせながら呆れた目で乱闘騒ぎを眺めていました。



「………ああ、成る程これのせいですか。全く情けない」


「馬鹿言うな!あれは超絶プリティーな絶対防御壁ハムスターなんだぞ!お前がどうにか出来るとでも言うのか!?」


「出来ますよ。ーーこうすればいいのです」


ジャキッ!、と音と共に右手に握られているのはシルバーに細やかな装飾が入った美しいフォルム、美術品としても価値がありそうなそれはその美しさとは真逆の武器。ーー銃。

何でそんな物騒な武器がこの世界に?



「なんだありゃ?」


「…ありゃ聖銃だ」


「成獣?」


「聖銃だ。神の聖遺物、聖剣とかあるだろ?あれと同じだ。あの筒の穴から凝縮した魔力を撃ち出し対象を破壊するらしいが、その速度が常人の目で追えるもんじゃないらしい」


「おいおい。そんな物騒な物が世に出たら大変な事になるぞ」


「いや、確か聖遺物の武器は何故か人間に対して即死するような殺傷能力は無いんだ。まあ、ダメージはあるし半殺し?ぐらいじゃねえの?……人間には、な」


「……ハムスターは人間じゃねぇよな?」



聞き耳を立てていた全員が凝視する中、眼鏡さんは何の感情も浮かべていない顔でハムスターちゃんに銃口を向け静かに宣言しました。



「今から三つ数えますのでどきなさい。もしそれまでにどかなければ貴方の腹に風穴が空くことになります。……三……二……」



言葉が分かるのか雰囲気に気押されたのかプルプル震えるハムスターちゃんでしたが、圧力に耐えきれず宝箱の上から飛び降り近くで観戦していたお姉さん(巨乳)の胸目掛けて飛びつきました。


「あら?あらあら?怖かったのね。よ〜しよし、もう大丈夫よ〜」


包まれながらふかふか天国を堪能中のハムスターちゃんに男性陣から嫉妬と羨望の目がむけられております。逃げる時にあの子、絶対あのお姉さんを狙ってましたね。



「全く、動物は躾が基本ですよ」


「お前は悪魔か?魔王か?何でこんな奴が聖遺物を持ってやがるんだ?」


「あんな小動物を殺す寸前だったのに平然としてやがる。こいつ人間じゃねえよ」


「イヤ〜ン、クールだわ」


「あの冷たい瞳で私も蔑まれたい、罵られたい〜」


「女って!!顔か?顔なのか!?」


「俺の時とは真逆じゃねぇか!確信犯な分あいつの方が悪人だろうが!!何でだ!?」(ヤンキーさん)


「諦めろ。これが格差社会という現実だ」



美形に寛容な女性陣に、不条理に嘆く男性陣。全てではありませんが人間顔で決まります。何処の世界でも美形アイドルがもて囃されているのが現実です。

眼鏡さんが宝箱から取り出したのは黒い表紙の本?ああ、やっぱりセシルさんのマル秘観察日記でしたか。見覚えのある隊員さん達が群がり言い値で買うと交渉を持ち掛けていましたが、“私には他人の秘密など必要ありませんが、少し荷が重いので御本人にお返ししようと思います”、とそれはそれは綺麗な笑顔を浮かべていました。




……見覚えがあり過ぎる笑顔。アゼルさんですね。






本当は鞭を武器にしたかったのですがハマり過ぎる。意外性が無い。

レイピアも考えましたが何と無くしっくり来なくて最終的に銃になりました。


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