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巧妙な罠は突然に

うがーっ!今はここから離れられませんが、イベントが終わり次第探し出し、制裁おしおきです!!




…コホン、気を取り直し次は、、あれ?

宝箱の周りに10人以上はいますが、困った顔、泣きそうな顔、鼻の下が伸びデレてる顔、皆さん様々ですが誰も戦わず宝箱を凝視していますが。はて?

よくよく宝箱を見ると……ハムスター?りんご色の手のひらサイズの可愛いハムスターが上に乗り宝箱を護っています。無茶苦茶可愛いー!!…って、誰の召喚獣ですか?あんなに可愛い子に宝箱を守らせて危険に晒すなんて!怪我をしたら誰が責任を取るのですか!皆さん同じ事を思っているのか誰一人動こうとしません。いえ、動けません。

しかし意を決して集団の中からオレンジ色の短髪ヤンキーっぽい人がハムスターちゃんに手を伸ばし掴み上げようとした瞬間、カプリッと指に噛みつきました。



「いっってえぇぇーーっ!!!」



指を噛まれたヤンキーさんが反射的に腕をブンブン振り回し、その反動でハムスターちゃんが外れ放物線をえがき地面に叩きつけられました。

ピキッと凍りつく周囲に、殺人でも犯したかの様にガクガク震え青ざめた犯人ヤンキーさん

周囲がどよめく中、ハムスターちゃんがヨロヨロと起き上がり宝箱に近づくと、ばっと両手を広げ護ろうとする姿はボロボロなのに周囲が輝いて見え、まるで聖者のようです。ハムスターちゃんは天の御使い様ですか?



「お、お前ーっ!何て事しやがる!!あんな小さな生き物を!貴様は人間か!?」


「あのハムスターを見て、貴様は何も思わないのか!!」


「ハムスターを放り投げるなんて、酷いわ!この人でなし!」



隣にいた方がヤンキーさんの胸ぐらを掴み上げガクガク揺らし、周囲で見ていた観客からも非難の声が次々上がります。青ざめたヤンキーさんがボロボロになったハムスターちゃんを見るとじわじわ目に涙が浮かびました。



「…俺は、俺は、なんて酷いことを〜、、うわぁああっ!」



追い詰められ観念したのか、頭を抱え地面に膝を着く犯人ヤンキーさん。その肩にそっと手を置く先程彼を締め上げたけいさつかん…二時間ドラマ好きです。惜しむらくはその場所が海沿いの崖では無い事ですが、どうか謝罪じしゅして下さい。



「……しかし困った」


「ああ、俺の勘はこれが団長の宝箱だと言っている。言ってはいるんだが……」


「……これをどうしろ、と?」


「全員で引き離せば、何とか」


「いい考えだが、お前があの小動物を捕まえるんだろうな?」


「う。そ、それは……魔法使い!魔法で拘束してもらえばいいんだよ!」


「残念ながらこの場にいない。俺達が魔法使いを呼べば協力していると判定されルール違反になる。つまり魔法使いがここに来るのを待つしかない」


「そんな〜!」




王妃様以上の恐るべき巧妙な罠です。アゼルさんの宝箱は発見され、ロウカ王子の宝箱も恐らく巧妙に隠されているので、私の勘も残るセシルさんの宝箱だと言っています。






…………シオル隊長は城下町を抜け門に向かって歩いています。

ブツブツ言いながら足早に歩く姿は不審者以外の何者でもありませんが、このまま門の外まで行きませんよね?






こちらは、ダイス隊長さん。誰かと戦っていますが、先程のキズ男さん?


「…いい加減にしてほしいんだが」


「宝箱が欲しいんなら俺を倒してからにしないとなっ、と!」



キズ男さんの横薙ぎの攻撃を一歩分後ろに下がり紙一重でかわすと、うんざりした表情を隠そうともしませんでしたが次々繰り出す攻撃に渋々鞘から剣を抜きました。ストーカー男を相手にするのも嫌なようです。ダイス隊長との実力は大きな開きがありそうですが、こういう人はしつこいですからね。あっさり倒せば逆恨みしかねません。



「って、おいこらてめぇ!」


「?…僕?なに?」


横で戦っている二人を尻目に藤色の髪の青年がひょいひょいと宝箱に近づくのを見て咎めました。をを、隊長さんとキズ男さん、藤色さんの三つ巴の戦いですか?



「なに?じゃねぇ!何をしれっと横から宝箱をかっさらおうとしてやがる。ガキだからって容赦しねぇぞ!」


「えー?僕の方が年上なんだけどなー。それに二人忙しそうだったし、僕が欲しい宝は一つ……いや、アイツも出しているか…二つだけだから確認したいだけだよ。違ったんなら二人にあげるよ」


「ふざけるな、コイツより先に潰すぞ!」


「えー、僕は親切心で言ってるんだけどな。そっちの人は別として君、僕が遊ぶ価値もなさそうだし」



キレたキズ男さんの罵詈雑言を耳に手を当て煩そうに顔を顰めました。



「本当なんだけどなー。だって、ね。ーーーほら、少し殺気を出しただけで君動けないでしょ?」



ダイス隊長を大振りで牽制し、藤色の青年に向かって行こうとしたキズ男さんが急に動きが止まり剣を落としました。え?え?どうしたのですか?

顔色が真っ青になり、全身がガクガク震え肩を大きく上下する様子からしてこれは過呼吸状態!?慌ててダイス隊長を見ると顔色が悪いですが剣を握りしめ真っ直ぐ藤色さんを睨みつけています。そんな彼の様子に藤色さんは少し目を見張り驚きました。



「へえ?驚いた。僕の殺気を浴びてまだ立ってるんだ?うん、うん、やっぱり君は強いねー。

あ、そこの人監視員?この人動けないから退けといて。過呼吸起こしてるから早く処置しといた方がいいよー。バイバーイ。

うーん。自分でやっといて何だけど、人間は一度植え付けられた心の奥の恐怖心はなかなか消えないからねー。あの人これから冒険者を続けられるかは微妙だなー」



さらりと人非人な事を言いながら腰に差していた棒を取り出しましたが、棒と棒が輪っかで繋がっているあれはヌンチャク?



「ふふ、驚いた?珍しい武器でしょ?これ三節棍って名前でね、フレイルの様に振り回して当てたりこうして繋げて、っと、ほら棒術としても使えるし、バラバラにもなるしいろんな攻撃が出来るんだ。凄いでしょー。始まりの書に載ってあった文章から僕が作ったんだよ」


「始まりの書?」


「初代竜……あー、まあ古ーい日記…書物で、その著者の知り合いが格闘技好きらしくて、いろいろ乗っていたやつの一つなんだ。それは兎も角、君は強いからね、僕が手合わせしてあげるよ」



藤色さんは三節棍を構えるとそばかすの愛嬌がある顔に不敵な微笑みを浮かべました。

そこからは手合わせの言葉通り流れるような型の応酬、右に左にと入れ代わり打ち合う様は剣舞にも似て周囲の人たちも思わず魅入っていましたが、ダイス隊長の鋭い一撃を躱しカウンターで入った掌底が胸に当たった瞬間、大きく吹き飛ばされました。



「…あっちゃー、ゴメン!つい一瞬本気になっちゃった!」



藤色さんが慌てて駆け寄り状態を調べながらも笑みを浮かべ、ダイス隊長を褒め称えています。



「でも流石はセシリードが鍛えた隊長さんだね。うちの騎士達よりずーっと上だもん。

それにさっきの三節棍の繋ぎ目を狙った攻撃は凄く良かったよ。魔法で補強して無ければ破壊されていたかも。ふふ、僕もまさかここまで楽しめるなんて思わなかったな……っと、これでよし」



喋りながらもダイス隊長の胸に置いた手が仄かに光を帯びているので恐らく何かの治癒魔法をかけているようですね。ひとまず安心です。



「あー、そこの君。とりあえず治したけど肋骨何本がやっちゃってたからこの人、どっかで安静にさせた方がいいよ」


慌てて監視員の人が倒れたダイス隊長の元に駆けつけますが、藤色さん宝箱を確認するともう用は済んだとばかりに反対方向へと歩き出していました。監視員さんが宝箱を放置している、と声をかけていましたが彼は振り向かずに手をヒラヒラとしながら軽く答えました。



「金貨なんて重いから要らなーい。次に来た人にあげればいいよ」


そう言ってにっこり笑うと次の宝箱を探しに歩いて行きました。

…えっと、国でも三指に入る人があっさり伸されましたが……三節棍って、すっごーく聞き覚えがあるような武器でして。

まだ私が幼竜の頃に褒めて褒めて、という目で自分が造ったんだと自慢気に見せてくれた人物を知っていますが。

いや、でもまさか自分から正体をバラすような真似はしないでしょうが、あの三節棍は世界で唯一の武器だと言っていましたし。ねえ?……それともバレるなんて全く考えてもいない、とか?





体調崩して食欲も無く、家族にレトルト(お粥)買ってきてと頼んだら、買って来たのはカレー。なんでやねん!( ̄◇ ̄;)

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