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秘密の夜は突然に

本編とは関係無い、いつか書きたいと思っていたネタがあったので総合評価1000pt超えおめでとう私記念としまして御礼小説で書いてみました。

皆様、読んでいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

m(_ _)m

皆様初めまして。わたくしの名前はロザリア=ホルンと申します。

同僚のマーヤと共にリン様とリオ様の身の回りのお世話をさせて頂いております。

リン様とリオ様の素晴らしさを語るには一日では足りませんのでまた後日。

今日は後に国の記念日にもなった出来事をお話しようと思います。



あれはリン様の一言から始まりました。





「悪いが今夜は酒の用意をしてもらえないだろうか?」



その瞬間、サッと血の気が引き心臓が止まりそうになりました。リン様はお酒をお召し上がられない方だと勝手に勘違いしていた私達の落ち度です。マーヤなどは絶望に目が死んでいます。 鏡が無いので分かりませんが私も同じ目をしている事でしょう。

マーヤはナイフで私はフォークで喉を突き刺しお詫びしようとした私達をお優しいリン様は悲しみに震える手で腕を掴みお止めになられたばかりか、恐れ多くも今夜は一緒に飲もうとお誘い下さったのです。…リン様が私達を止める際にグロイのは嫌だ、とおっしゃっていましたが、グロイとは何の事でしょう?




ともかくお世話をする者としては失格ですが喜び浮かれながらも料理長にお酒とおつまみを手配していた私達の背後にアゼル様がいつの間にか立っており、いつの間にか四人で飲む事になっておりました。何故でしょう?




リン様はせっかくの女子会が、と呟いていましたが、私はアゼル様が持って来られた大量のワインに目を奪われました。


チラリと銘柄を見てお恥ずかしながらお金の計算をしてしまいましたわ。アゼル様がご用意されたお酒はどれも年代ごとに幻と言われたワインです。勝負に出られましたわね。

普通ならば一生口に出来ないものばかりが並ぶ中、私の目が光ります。

ああ、一口幾らぐらいするのかしら?一本ぐらいくすねても大丈夫かしら?それよりこっそり別の瓶に移し替えれないかしら?…コホン、失礼致しました。子爵家令嬢と言っても家は万年貧乏ですからついつい。おほほほ、はしたないですわね。


少しだけ反省し、ワインを一口。まろやかで飲みやすいのに味に深みがありますわね。一人で軽く一本飲めそうですわ。リン様も美味しいと目を和ませ残りをキュッと飲み干されました。惚れ惚れする程いい飲みっぷりですわ。




「流石はアゼル。こんなに美味しいワインは初めてだ。私はお前のような有能な部下を持って幸せだな」


ーーーえ?


初めて見る満面の笑みでアゼル様を……褒めている!??何事ですか!?

失礼ながら思わずリン様を凝視してしまいました。シミ一つない綺麗な肌はいつも通りなのですが、…薄っすらピンク色ですか?一杯しか飲まれてませんが、もしかして酔っておられますかーー!?



「!?わ、わ、わ、我が主様が〜!は、は、初めてお褒めのお言葉を!はっ、これは夢ですか!?」



アゼル様が驚きのあまり金貨ン百枚のワインをドボドボとテーブルの上に零しながら、(嫌〜、止めて〜!)夢、願望、妄想?と呟きつつ頬を摘みグイグイ引っ張っておられます。

ボトルを奪い取り懐へ。……嫌ですわ、保管しておくだけですわ。おほほほほ。まだ頬を引っ張っているアゼル様。変顔なのに美形とは創生神様はえこひいきですわ。



「ふふふ、アゼル可笑しいぞ。仕草がカワユイな〜」


「グォホッ!…ボタボタ……わ、わ我が主様もそのお可愛らしいです」


「ア、アゼル様、血、血が」



「カワユイ?本当か?リオも小さくてカワユイから私も小さくなればもっとカワユイ?……よし」



ぽんっ、とコミカルな音と共に現れたのは……!☆*=%☆!!!


ド、ド、ドラゴン!!皆様ドラゴンですよ!!

しかも小さい二頭身のお腹ぽっこりの黒いおめめがパッチリとした縫いぐるみサイズのドラゴン!!可愛いーー!!何なのですの!?神が創り出した傑作ですわー!ああ、ツヤツヤとした黒い鱗とぽっこりお腹に触りたいですわー!抱きしめたいー!ああああ、滾って来ましたわ。この時ほどメイド服が黒くて良かったと思った事はありません、血が目立ちませんもの。

マーヤもアゼル様も同じように手を顔に当て必死で色々なものを堪えています。分かります、分かりますわ!!



「どうだ?カワユイか?」



「 「 「 もちろんっっ!!! 」 」 」



今、私達の心は一つですわ!!




脳内に焼き付けようと凝視している私に、ふっと稲光の様に天の啓示が降りてきたのです。それは正しく天の意思、世界の意思なのです!本来ならば唯のメイドである私がアゼル様に意見を述べるのもお願いをするのも考えられない事です。処罰対象どころかクビは勿論の事、一族が罰を受けても文句は言えません。

しかし!今の私達の心は一つです。そしてそれは叶えられると知っていました。




「…アゼル様、リン様にお洋服を着せても宜しいでしょうか?」


「!!!……流石はメイド長自らが推薦したメイドですね。素晴らしいです。しかし残念ですが今の我が主様は小さいとはいえドレスはドレス。かなりの時間がかかるでしょう」


「ロザリア!まさかあれを使うつもり?」


マーヤも思い出したのか俯いていた顔を私の方に向きます。アゼル様の前で敬語も消えましたが今はそのような事に時間を取られる訳にはいきません。

去年、北のスノーダリア国王一家がご訪問された際に、二歳の第二王女様の為に作られたドレスのスペアが衣装部屋に保管されていたハズです。スペアと言っても王家に献上するドレス。献上品とほぼ遜色はございません。

本来ならば、糸から飾りまでリン様に合わせた最高級の物を使いたかったのですが致し方ございません。

あのドレスはリン様の物です。保管するだけのドレスならば、リン様に着て頂いた方が何千倍も有意義なのです。なので後から窃盗と難癖を付けられようとも、私ロザリアは受けて立ちましょう!

最早この部屋にいる者達に上下関係など存在しません。あるのは同志たちとの信頼関係のみ。アゼル様に採寸をマーヤは裁縫道具を取りに、私はドレスを。三人で頷き合い行動に移しました。






衣装部屋からドレスを強奪、コホン…取りに行き、駆け足で部屋に戻りました。途中何かにぶつかったり、壺を落としたり、怒鳴り声やメイド長とすれ違った様な気がしましたが全て気の所為ですわね。

両手が塞がっておりましたので無作法ですが足で扉を蹴り開けると床一面に血の海が!?い、一体なにが!?

うつ伏せで倒れている物体を二頭身のリン様が恐る恐る足でチョンチョン触っていますが、何て可愛らしい仕草なのでしょう〜〜♫それがアゼル様の頭だったとしても全く気になりませんわ。

………ああ、アゼル様。貴方様はお役目を全うされたのですね。

私の目線の先にあるアゼル様の指に血が付いており、その指先の床には数字が。恐らく最後の力を振り絞り床に血で採寸を書かれてたのですね。アゼル様、貴方様の犠牲は無駄には致しませんわ!ハンカチでそっと涙を拭い帰ってきたマーヤと共に急いで作業に取り掛かりました。






いつ死んでもいい。


至高の存在をこの目で見ることが出来たのだから。このお方の為になら命を投げ出しても惜しくはありませんわ。

白いフリルがたっぷり付いたドレスを着たリン様。

ワニの様なお顔とぽっこりお腹、裾からは尻尾が出ておられます。もう何と言うか、大声で。


似合わなさ過ぎて逆に無茶苦茶、か、わ、い、い、で、す、わーーーーっっ!!!


自分でも何を言っているか。黒い鱗のドラゴンに白いフリフリドレス。似合わないのです。しかし!それが何故か何千倍も可愛らしくしているのです!!

はぁはぁはぁ、血が足りませんわ。復活したアゼル様はリン様を見た瞬間吐血し、また床に倒れられました。



私達が天国と共に生死の境を彷徨っていると護衛であるダンジュ様とジル様が飛び込んで来られました。

何でもアゼル様のお部屋から血の匂いがしているらしいのですが、この部屋には私達を含めごく僅かな人物しか許可されていません。誰かがお二人を呼びに行ったようです。




「な、何だこの血の海は!?って、アゼル様ぁー!?何で死にかけて……っっ!リ、リン、様?」


「カワユイか?」


「がふッッ!!」



ああ、ジル様も床に沈みました。リン様のコテンっと首を傾げる攻撃は無敵ですわ!あのダンジュ様まで固まっていますもの。

そこへ少しだけ復活をされたアゼル様がヨロヨロと首を上げダンジュ様に命令をされました。


「ダンジュ、、何故か貴方は魂まで魅了されていないようですね。今はその鈍感力に感謝しましょう。命令です、5分以内に宮廷画家を連れてきなさい」


流石はアゼル様!!昇天しかけたこの状況の中で常に物事じぶんのりえきを判断する能力!尊敬致しますわ。

ですから私にも一枚譲って下さいまし。

5分以内という無茶な命令を遂行するべくダンジュ様は突風の様に消えて行きました。

あら そう言えば宮廷画家様は一週間程、休暇を取っていましたわ。ダンジュ様はどうなさるのかと思っておりましたら、背負われて来たのはサリー様です。何とサリー様のご趣味の一つ、絵画は宮廷画家様も太鼓判を押す程の腕前とか。ランキング不動の “ 結婚したい男 ” 一位の実力は伊達ではありませんのね。

流石のサリー様も床を尻尾でペチペチ叩いてるリン様の仕草に固まっておられましたが、事情をご説明すると快く引き受けて頂けました。



「アゼル様、保管室にまた書類が入りきれなくなっておりまして」


「く!?こんな時に卑怯な。……いいでしょう、四分の一全て明日中に処理しましょう!」


「ありがとうございます。でも鉛筆だけでは味気ありませんね。油絵もいいですが、色鉛筆、水彩画、最高級の岩絵具もいいですね」


「くぅっ!…は、半分を明日中に!!」


「ありがとうございます。心を込めて描かせて頂きます」



アゼル様、私は貴方様の尊い犠牲を忘れませんわ。隣のマーヤは涙を拭いつつ祈りを捧げていますわ。……でもサリー様が裏でアゼル様を操っているという噂は本当でしたのね。





「サリー、カワユイか?」


「…っ。え、ええ大変可愛らしいですよ。さぁ、リン様後ろを振り返って…はい、そのまま止まって下さい。もっと可愛らしくなりましたよ」


「うふふ、そうかー」



夜中だというのに、扉の前には何事かと覗きに来てそのままリン様の可愛らしさにノックアウトされた屍が積み上がっております。また一人倒れられましたね。

作業は深夜まで続けられ、時間が経つ度に屍が積み上げられ翌日、人の少なさに城の業務に支障をきたす程でした。




サリー様が何枚も描かれたリン様の絵はアゼル様が保管ひとりじめしています。

勿論、全てでは無く私とマーヤ、国王様、後は精霊様情報で知ったのか他国の守護竜様方に。あの時は譲らねば戦争一歩手前でした。

いえ、他国が攻めてくるのでは無く守護竜様方が、でしたね。流石のアゼル様も三対一では勝ち目がなく歯軋りしながらお譲りしておられましたわ。





今、私の私室には疲れて眠っているリン様の絵が飾られております。淡いパステルで描かれたそのお姿は見る者を和ませてくれます。

サリー様からこっそり譲られた絵に国王様もいたく感激し、後日この日を芸術の日。国の記念日として設定されました。




リン様はやはり酔っておられていたらしく記憶は無かったそうです。城の者全員一致団結しあの夜の事は口を噤んでおります。

またあのお姿を!っと準備に勤しんでおりましたが国王様直々に増血剤と気付け薬の開発に目処が立つまで禁止の御触書を出されてしまいましたので当分はお預けですわね。仕方ありませんわ、楽しみは取っておく事に致します。





人化の時のリン様はお美しくて凛々しい方です。元のお姿に戻られてもこの思いは変わらないでしょう。

し、か、も、幼竜のお姿にもなれるなんてサイコーですわ!!




私ロザリアは一生リン様にお仕え致しますわ!




ぽっこりお腹の二頭身ドラゴン、また出してみたいです。ピンクフリルや動物の着ぐるみも捨てがたいです。

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