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日記公開は突然に 騎士団副隊長 ジル

いつの間にやら沢山のお気に入りや評価等、ありがとうございます。( ´ ▽ ` )

暑いです。皆様夏バテにはご注意下さい。(食欲が無くならないプチ夏バテ気味です(笑))

☆月*日


アゼル様付き補佐官のサリー様に日記を書いてみたらどうだ、と勧められてみたので今日から書いてみる。

三日坊主になりそうな気がしないでもないが出来る限り続けてみようと思う。



今日は午後からリン様がギルドに行くと言うので護衛に付いた。

魔法薬に使うメーガ石という鉱石採取の依頼を受け出発したが、当初予定していた場所よりも逆の方角に行きたいとリン様が言い出した。特に反対する理由もないので行ったところ、見事に大当たり。

採取しギルドに持って行くと、似ている別の石だったらしく失敗かと思ったが蓋を開けてみれば、さらに上の超希少鉱石のギーガ石。すげー。

何で場所変更したかと聞けば何となく、らしい。やっぱりすげー。

夜、アゼル様に報告するが、リン様の素晴らしさを延々と三時間語り尽くしてくれた。俺が止めなければ朝まで続いていたことだろう。いい加減にしてくれ。

今度仕返しにリン様にアゼル様の秘蔵コレクションの内容をバラしてやる。






☆月●日


リン様が買い物に行かれるので護衛をする。

途中、子供のオヤツのグミを発見したリン様は、目を輝かせながらいつもの大量買いを始めた。孤児院に持って行くのだろうがそれにしても大量に購入しているので確認すると、“HPとTP回復アイテムは必須だろう!!” と興奮した声で言われたが、回復?えいちぴー、てーぴーとはなんだろう?

その後、ゲームと現実のギャップが、とブツブツ言いながら落ち込むリン様と共に大量買いしたグミを持ち、孤児院へ今回は徒歩で移動する。いつものリヤカーで乗せる量では無いが重い。隣のダンジュは汗一つかかないがこいつの体力は一体どうなってるのか?

因みにグミは一部を残して、残りの分は溶かしてゼリーにして食べた。美味かった。






☆月▽日


合同訓練に参加する。

俺とダンジュはリン様の護衛任務がありマシな方だが、他の連中は連日セシリード団長せいで死にかけている。

本日は、腹筋、背筋、スクワットを各500回と20周のランニング。

思ったよりまともだった為に拍子抜けしたが、悪魔は悪魔だった。


“あら〜?よそ見してたわ。あんた達が真面目にしてたか見ていないから最初からね”

“何処まで数えたのかしら?面倒だから、腹筋からもう一度しましょ”


もうすぐ終わるというトコでこれが5回程続き、殺意を覚えたのは俺だけではないだろう。滅べ悪魔オカマ






▲月●日


廊下を歩いていると、リオ様の声が聞こえてきた。


“マーヤさんにロザリアさん。ナンパしてもいいですか?”


ずっこけた。


“きゃー。可愛いー!リオ様天使!”

“はい。ナンパをお受け致しますわ”


何故成功する!?

聞けばこの前団長が言ったまんま、ナンパは女性と仲良くしてお菓子やお茶を飲むという認識らしい。

あの人はロクなこと教えてない、っていうかこんな純粋無垢なリオ様が団長やアゼル様みたいになったらどう責任をとるつもりだ?

どちらにしろ、城内でも五指に入るメイドとお茶するリオ様が羨ましい。






▲月◆日


自分でもこんなに日記が長続きするとは驚きだ。

日頃の恨みつらみや鬱憤を書くという行為はなかなかいいストレス発散になっている。

あまり想像できないが、勧めてくれたサリー様も日頃の鬱憤を書いているのだろうか?


本日のリン様はロウカ王子とのお茶会だ。多彩な趣味を持つロウカ王子の話術は人を飽きさせず、同じ男として勉強させられる。これがモテる要素の一つか?

要注意人物のロウカ王子の訪問にアゼル様からはリン様に指一本触れさせるな、と厳命され、万が一の時は分かっていますね?、と言われたがボクニハワカリマセン。

カクカク頷く俺を見て何を思ったのか、棚から怪しげな赤黒い液体の入った小瓶を取り出しいざという時にはこれを使いなさい。そう言われ手渡されたが、怖いので後日こっそり元の場所に戻した。

無茶振りもいい加減にして欲しい。






▲月☆日


本日は隊員全員が団長に訴えた。


“このままでは全員壊れます”

“筋肉痛で階段も登れません”

“一日でいいので、優しいメニューにして下さい”


懇々と訴えた俺達に呆れながらも妥協案を提示してくれた。

曰く。リオ様とマラソンで全員が勝てば一週間基礎メニューのみ。しかし誰か一人でも負ければ一週間地獄の入口へようこそコースらしい。

俺達も馬鹿ではない。団長本人、罠、その他の妨害から天候までありとあらゆるものを考慮し、妨害をしないと約束させ安心したものだが、その後の結末を誰が想像しただろう?

リオ様がユニコーンの姿に戻り、俺達を一気にごぼう抜きすると言う結末を。


いや、普通勝てないだろう?後から聞けば、この国に来る時にも国内有数の良馬をリン様を乗せた状態であっさり抜き去り、逆に追いつくのを待っていたらしい。


「流石は私の騎士だな」

「わ〜い」


リン様はリオ様を労い、鼻を撫でてもらいうっとりしているが、俺達はどんよりだ。

リオ様がユニコーンという事を忘れていた時点で敗北は決まっていたのだから。


「あら〜?ここに油断して子供に負けた駄目大人達が大勢いるわ〜?

仕方が無いからあたしが鍛え直して、あ、げ、る♫」


いつかこのあくまに天罰が降らないだろうか?









人生最大のピンチだ。


一人で魔獣に囲まれた時にさえこんな焦りは無かったと思う。

たまにはのんびり外で書くのも悪くない、と思ったこと自体が悪かったのか日記を落とした。

マズイ。国に関わるものは書いていないが特定の人物達に拾われた場合、俺の身に何が起こるか想像がつかない。

廊下で同僚にぶつかった時だろうと辺りをくまなく探したが見つからず頭を抱えていると、廊下の奥から “ ジルさ〜ん ”と、リオ様がこちらに駆け寄って来たが、その手に持っているのは俺の日記!!助かった〜。



「これジルさんのですか?」

「助かった〜!リオ様、マジで天使!!ありがとう!」

「良かったです。じゃ僕は団長さんのところに報告に行って来ますね」

「団長に何か用事でもあるのか?」

「この日記、ジルさんのでした、って言いに行って来ます。拾ったの僕ですけどジルさんのだって教えてくれたのは団長さんですから」



ーーーは?



「僕、主様に文字を教えて貰っているけどまだ読めない文字もいっぱいですから、中身を見ても分からないですし、表紙にお名前が書いていないので誰のか分からなくて困っていたら、通りかかった団長さんが日記の中身を見て、ジルさんのだろうって教えてくれたんです」



ニッコリ笑うリオ様に非は無い。確かに俺の名前は書いていないから中身を読まないと誰だが分からないだろう。読んでも分からない時もあるが。しかし、何故隊員だけでも何百人もいる城内で団長が通りかかるんだー!

自分の不運を呪いつつ俺は覚悟を決め、リオ様に団長が何か言っていなかったかを確認した。

う〜、う〜ん、と唸っていたが思い出したのか、ぱっ、と笑顔になり、



“ 団長さん、明日は日記の余白、全て書けるようなスペシャルデーにしてあげましょう♫って言ってましたよ ”




そう言い残し団長へ報告する為に去って行った。




……日記を全部埋めるどころか、明日からずっと余白のままかもしれない。






グミで回復するのは私の大好きなゲームです。♪( ´▽`)


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