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歓迎会は突然に①

あの後、セシルさんの歓迎会と同時に、皆さん無事で良かったね会?いえ、慰労会をしようと急遽その場で決まり、マナー!?マズイと焦ったのですが、堅苦しくない立食式ガーデンパーティでした。良かったですよ、心は庶民ですから。



今夜は月が綺麗という事と、隊員達が気後れしては元も子もないという事で、決定したガーデンパーティーですが、庭にはたくさんのテーブルがセッティングされており、足元や周りには鈴蘭や薔薇といった花々が目を楽しませてくれます。元々、この時期はまだ花が咲いておらず蕾が多かったのですが、アゼルさんが “我が主様がご出席されるものは全て完璧でないといけません” と、あっという間に整えてくれた物です。素晴らしい、守護竜を辞めても庭師でやっていけます。


辺りには美味しそうな匂いが漂って来ており、焼けた肉汁滴るカットステーキや魚の酒蒸しなどが並ぶ料理達、フレッシュジュースにお酒、ワイン、紅茶等飲み物やプチケーキ、ムース、マカロンと言ったお菓子類も所狭しと並べられています。

先ずはあのゼリー寄せと魚のマリネから行きましょうか。いえ、あちらのミニキッシュも捨て難いですね。むむむ、全部取るのもお腹の肉が気になりますし…お菓子類はリオ君と分け合うという手もありますね。

しかし、料理人やメイドさんを始め数時間で完成したプロの仕事には脱帽致します。





テーブルや空中には魔法で作られた優しい光が月と一緒に辺りを照らし、幻想的な雰囲気を創り上げています。


今回は格式、マナーは気にしない歓迎会アンド慰労会という事で、皆さん無礼講ですよー。まあ、何処でもそうでしょうが、無礼講も度が過ぎればクビを切られますが。(苦笑)

皆さん思い思いのラフな格好でいますが、一部貴族のお嬢様方が孔雀みたいなギラギラしたドレスを着ており悪目立ちしているのに気が付いていません。普通のパーティーなら兎も角、国王様が楽な格好で来てねー、と言っているのに宝塚も真っ青なドレスと、肉食獣の目。孔雀って果物や野菜、カタツムリや毒蛇、サソリなんかも食べましたよね。うん。孔雀軍団に決定です。綺麗な羽を持っているのはオスですが。



そして、開始の挨拶は国王様から。言葉はマイク要らずの風の魔法により、全ての人が聞けるようになっています。



「皆の者、本日は急な催しにも関わらず集まってくれたこと嬉しく思う。

皆も知っているだろうが、元騎士団長のセシリードが一時的に団長に復帰することになった。

それに伴い現騎士団長と魔法師団長を解任し、隊の立て直し後、また新たに他の者を任命するものとする。

本日は歓迎会と同時に慰労会でもある。日頃の疲れを癒して欲しい。

最後に本日の主役であるセシリードに一言貰おうか」


国王様の斜め後ろに立っていたセシルさんが、前に進みます。

流石に主役という事で白い騎士の正装をしていますが、これが設えたかのように良くお似合いの上、辺りを照らす光がプラチナブロンドの髪に反射し、煌めいて一層美貌を際立たせています。ああ、孔雀軍団の方々も頬を染めて見つめていますね。




「先程、ご紹介に預かりましたセシリードと申します。

お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます」



そうして優雅な礼を一つ。

おお、流石にオネェ言葉は喋りませんね。空気が読める人です。



「一年前まで団長を務めさせ頂きましたので皆様は私の事はご存じと思います。

今回は縁があり、また一時的ではございますが、復職致しました。

ひとえに今回の不祥事は私の教育の至らなさが原因です。日頃、隊員達に手取り足取り、優しくし過ぎたと猛省しているところでございます。

今後はこのような不祥事が起こらないよう躾…ゴホゴホ、失礼、再教育し直し国の狗…いえ、国を代表する団に立て直す所存でございますので、ご期待下さい。

さて、長くなりましたが、皆様この後のご歓談をお楽しみ下さい」



……空気……空気読んで下さい……。

真っ白になる隊員達、憐憫の眼差しで見るその他大勢、気が付いていないのは孔雀軍団と一握りの人達だけ。

セシルさん。この空気の中どう楽しめと?




「まったく、セシリードにも困ったものですね」


わっ!ア、アゼルさんいつの間に?

今迄国王様の側にいたはずのアゼルさんが涼しい顔で横にいました。気配の欠片も感じさせなかったとは、アゼルさん恐るべし。



「ささ、我が主様、私がお好きな物を見繕って持ってきましょう」


「……魚のマリネとキッシュ、ゼリー寄せ、キャベツのグラタン、ミートオムレツにカットステーキ二人前、もも肉の蒸し焼き、ポタージュスープ、リオには野菜と果物、飲み物は冷たい緑茶」



ふふふ。アゼルさんが取ってくる間にリオ君とトンズラしましょう。いえ、あちらにいる孔雀軍団の視線が痛いのですよ。


「こちらに御用意しております」


……はい?

見るとジルさんとダンジュさんと隊員さんが両手に料理を盛ったお皿を持って待機していましたが、いつの間に!?



「うわー、凄いです!アゼル様は何故分かったのですか?」


「ふ、私の我が主様に対する愛の力、と言ったところでしょうか。常に目線を追い、料理をチェックし、言われる前にいち早く持って行く。仕える者の常識です」


「尊敬します。僕も出来ますか?」


「私程では無いでしょうが、其れなりにレベルは上がるでしょう。それにしてもステーキ二人前とは、私もまだまだですね。精進しなければ」


「アゼル様……何故その能力を他に使わないのですか?」


「ダンジュ、その前にドン引きするトコだろうが」




もぐもぐ、あ、このオムレツはトロトロで美味しいです。ゴックン、ムシャムシャ、マリネはお酢が少し足りませんね。



エエ、ワタシハナニモキイテイマセンヨ〜。






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