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出会いは突然に

バリバリバリ

ドゴオォォンンッッ!!




凄まじい音と共に大量の土煙が周囲を舞いました。


イ…イタ…痛くないです?


流石はハイスペックなお身体。

階段を数段上から軽く飛び降りたぐらいの衝撃しかありません。

あんな高いとこから落ちたんですね。


しかし、森の守護竜である私が森を破壊するなんて。

……実はここだけの話ですが、今回だけではないのです。

喉が渇いたので精霊ちゃんに頼んで水を出してもらえば、寝起きで制御を間違え森を水浸しにし、洞窟内の寝床を掃除しようと風を使えば水晶が外まで散らばり皆様に森の住人の皆様に片付けてもらったり、…ごめんなさい。ゆるしてください。すみません。

後でしっかり直します〜。



モクモクしていた土煙がようやく収まってきたようです。

……?

人、ですか?


少し離れた向こう側に鎧を着た騎士っぽい人達とローブを纏ったいかにも魔法使い!という方々が20人ぐらい見えます。


…あの〜この森は人間は入ってはいけない決まり事なのですが〜。

ちゃんと国同士で、私の許しなく森に入ってはならないと条約が結ばれているんですが?

勿論私は森に入ることを誰も許可してません。………つまり私は無視ですか?泣いていいですか?泣きますよ?



さらに私寄りにもう少し離れた所に真っ白なユニコーンが数匹のゴブリンやサーベルタイガーに似たジュオンと呼ばれる獣達に護られるようにそこにいました。



ーーー!!?!


おめでとう私!ユニコーンですよ、ユニコーン!!

大事なので二回言いました!

ファンタジーの王道!

穢れなき乙女の象徴!

癒しの天使!

純白の綺麗な毛並みにつぶらな瞳、ツノもありますよ!

まだ幼いのか小柄ですが、それがますます可愛らしさを倍増させています。

ぜひぜひブラッシングさせてください!

競馬ファンではありませんが、その毛を御守りにしますとも!



200年住んで初めて見ました。

ユニコーンは元々個体数が少なかったのですが、乱獲と何より人が無意識に発する微量の魔力が体質的に合わないらしく、捕獲しても数年で亡くなるので今はこの森にしか居ないと言われています。


それにしても可愛い〜

眼福ですよ〜

なでなでしたいです〜


あ、人間達はアウトオブ眼中です。

イケメンも多いみたいですが、普段の私では無いのです。

イケメン達も立派な私の目の保養になるのですが、ユニコーンちゃんの前には欠片も魅力を感じません。

例えるなら、高級生キャラメルとジ○ギス○ンキャラメル程の差がありますね。

それに向こうで何か怒鳴ってるみたいで感じが悪いですね。

其方は不法侵入者ですが分かっていますか?




!そうでした。

さっきの落下したせいで石や木片がぶつかってませんよね?

こんな可愛い子に怪我なんかさせた日には責任取ります。

一生面倒を見ますよ。

寧ろ見させて下さい。

まずは、怪我の確認と謝罪です。


「無事か?」


…あれ?

何故か、口から出たのは上から目線の偉そうな言葉でした。





え、え、え?

ええええ⁇



思ってるのと言ってる事が違いますよ!?何故ですか?

身体におかしなところは見当たりませんし、第一、日本人の私はあんな礼儀知らずな事は言いませんよ。

小市民の私にはそんな度胸もございません。



心当たりは今の私です。生まれて約300年近く、無関心、無表情、傍若無人の文字がとても似合ってましたから。

なんだが中身が人間であった頃の私で、外が今のドラゴンの私、みたいな感じでしょうか?

でも違和感無く混じりあってるのかもう一人の私の様な…よく分かりません。

でも、人であった時には思わなかったヘタレな私には無いハッキリとした攻撃的な感情があります。

それを恐がっている私と受け入れている私、どちらも私です。

そして、今は明らかに条約違反の人間達にイラついています。

正直、このまま怒りに任せて、プチッといきそうで怖いんですよ。


…事故に見せかけて…

はっ!?いけません、こんな可愛い子達の前で惨殺(笑)なんて。




その可愛い子達が私の元にも駆け寄って来ます。


『は…はい。みんなが助けてくれたので大丈夫です』

「そうか」


ホッとしました。

しかし、ユニコーンちゃんはお声も可愛い〜。

録音したい〜。

この姿や声を記録しないなんて人類の損失です‼︎


く〜何かないんですか!?録画、録音!

ああ、ビデオカメラ召喚!

スマホでもいいです…ん?


目の前にボール程の小さな光球が現れました。

やりました!召喚成功!…では無くこれはドラゴン固有の緊急用の魔法ですね。

一体どうしたことでしょうか?

この200年連絡など来なかったというのに。

光球に触れ握り潰すと一気に中に込められた情報が頭の中に入ってきました。



…成る程そういうことですか。

どうしましょうか。




先程の光に驚いたのかユニコーンちゃん達がさらにこちらに近寄ってきます。

他の子達もかすり傷程度のようで、目が合ったゴブリンが大丈夫だよと、首を傾げました。

その姿は猫が首を傾げる仕草にそっくりで何と言うか、

…お姉さん、ゴブリンに胸キュンする日が来るとは思ってませんでしたよ。

何かに負けた気がします。



「何でこの森にドラゴンがいる!?」



私達の和やかーな雰囲気を壊すかように騎士の男が声を荒げました。

隊長でしょうか?

あの紋章は……シャリーズ国?

西にある国ですね。因みに今声を出したのは金髪ワイルド系イケメン様です。

その声を皮切りに、次々と声があがります。


「見たところ一匹だけですね」

「じゃあ、作戦通りこのまま魔方陣で捕縛だな」

「他もなるべく殺すなよ」

「勿論そうするつもりだけど事故は仕方ないよね〜?」



…捕縛?…殺す?



「オニキスドラゴン程度なら5人もいれば充分だろう」


…………………

…オ…オニ…

プチッ




…ふ

…ふ…ふざけんなああぁ!!!




私の怒りの咆哮が森中に響き渡った。









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