記憶は突然に
初めての連載です。
拙い文章ではありますが、最後まで頑張っていきますので宜しくお願いします。
私は28歳、事務員でした。
青い空の下、最近マイブームである月一のお空の散歩中に何の前触れもなく思い出しました。
………
………いやいやいやいや。
待て待て待て待て。
落ち着こう。落ち着けワタシ。
おかしいから!
まず、こういう時は深呼吸!
スー…ハー…スーハー… スー
先ずは状況確認。
左右。森です。
前後。森です。
うん、見渡す限り一面に広がる広大な森です
………
…うがあぁぁあ‼︎木しかないぃ!
この場面は、“あの建物は何?”とか“この魔法陣は?”とか言う場面でしょう!?
責任者出てきなさい!
…コホン。失礼致しました。
え〜、皆様には大変お見苦しいところをお見せ致しました。
では先ずはこの森からご説明させていただきますね。
ここは私の住処です。
この森は、上空から見てもかなり広いのですよ。
ドーム何十個分でしょうか?
この森の奥にある水晶の洞窟が私の住処。光が反射してキラキラしているとてもオシャレ?でセレブ気分になれる寝床です。
この場所の正式名称はアルトヤージュの森。
通称、沈黙の森です。
密集している木々で少し?薄暗いですが四季もあり、白い可愛らしい花(毒草)から大きな原色系(食虫植物)の花々が咲き乱れて心を和ませ綺麗ですし、住み心地も悪くありません。
周囲には可愛いペット達(ゴブリンから獣種、出会った瞬間S級ランクの冒険者でも逃げ出すらしいキメラもどき)も懐いてくれ、癒し効果?も抜群ウハウハでございます。
あ、申し遅れました。
私、この森に守護兼所有者としてここに暮らして約200年ほどになる艶やかな鱗が自慢のドラゴンです。
少しだけ昔話をしますと、前世(?)の私は、一般家庭に生まれた普通の一般人女性でした。
専門学校を卒業して、アパートに一人暮らしをしながらそこそこの企業に就職し、早八年。お局様にジョブチェンジが出来る一・二歩前の年齢でしたが、彼氏はいませんでした。
大人しい性格だったこともあるんでしょうが上司に 、
「昨日休んでたっけ?」
と言われる程の存在感の無さが原因ですか?
生かさず殺さずの仕事量を押し付けてくる鬼畜上司と、何度教えても覚えない、使えない後輩との間で中間管理職の様な私は毎日が胃痛の状態でした。
日々ストレスが溜まる日常での私の楽しみはゲーム!
乙女系からBL系、積みゲーまで網羅しましたが何か?
ホラー系とグロい系はパッケージも見るのが嫌なヘタレですが何か?
中でも一番好きなのはファンタジー系でした。
剣と魔法。妖精に王子様にエルフ等々、萌えの要素がたっぷり。
右手が腱鞘炎一歩前までボタンを連打したものです。(苦笑)
前世(?)最後の記憶が残っているあの日もゲームをする為に準備をしていました。
久しぶりに纏まった連休がとれて、家から一歩も出ない決意の元、飲み物、お菓子、カップ麺達を周りに用意し、いざ!
と、コントローラを握ったところまでは覚えていますが、ここまでしか記憶がございません。はい。
…私は死んだのでしょうか?
地震がおこったのか心不全や何かの事故も考えられます。
ただ一つだけハッキリしている事は、あの時の私は手にコントローラを持っていました。
…………
…………い……いぃやああぁぁあ!!!!
何!?何なの!?
警察の実況見分とかで、お宅の娘さんはコントローラを握りながらお亡くなりになられていました。とか言われるの!?
恥ずかし過ぎる〜〜!
何ですか!?その羞恥プレイは!
思わず頭を抱えてしまいました。
思春期の男子高校生が親にエロ本を見つけられてしまった並みに恥ずかしいです!!
ここが地面だったらきっとゴロゴロと転げ回っていることでしょう。
マヌケな事に頭の中で絶叫マシンばりに叫びまくってたせいで、高度が下がっていたことに気が付かず、そのまま森に突っ込みました。