第二十五章:辺境の温泉街と湖デート
今回は湖デートと温泉街で買い物というほのぼの回です!
ぜひ楽しんでください!
翌朝再び飛び始めた一人と一匹は、
巨大な湖にたどり着く。
「喉渇いたわ」
「近場に下ろしてくれる?」
「任せておけ!」
「その前に殺菌消毒してやろう!」
青い火球をぶっ放し、
湖を消毒しようとするが……
全て蒸発してしまった……
「あー!!!」
「蒸発しちゃったじゃない!」
アスタロテの右手に捕まりながら、
ぼやいてしまう。
「しまった!」
「火力が高すぎた!」
「ポンコツドラゴンなんだから!」
「しかもジャイアントロブスターが、」
「五匹もいるわ!」
超巨大なロブスターが、
蒸発した湖の底で、
困惑していた。
「アリシア」
「捕まっておけ!」
「朝食にしてやる!」
猛ダッシュしながら、青い強化火炎ブレスで、
百メートルのジャイアントロブスターたちを、
丸焼きにしていく。
「美味しそう!」
「尻尾の部分が食べたいな!」
アスタロテは丸焼きにされた、
ロブスターの尻尾を、
引きちぎり持ち上げる。
「さあ食べよ!」
「いただきます!」
「熱いけど……」
「美味しい!」
焼きたてのロブスターだ。
どう考えてもサイズはおかしいが……
「ありがとう!」
「あなたも食べるの?」
「もちろんだ!」
「五匹丸ごとじゃ!」
アスタロテは残りのジャイアントロブスターを、
丸かじりしていく。
「すごい!」
「私も負けないわ!」
二人は三十分ほどで、
ジャイアントロブスターたちを食べ終えた……
「午後はどうしようかしら……」
「とりあえず温泉地に向かうか……」
「そこでアリシアは水と食料を、」
「買うといいだろう」
「そうね」
「じゃあ出発!」
そして二時間ほど飛び続けて、
ようやく温泉地にたどり着いた。
「街外れに下りて正解だったな」
数キロ先の場所に落ち着いて着地する。
壊れ物を触るかのように、
「それじゃあ行ってくるわね」
「気をつけるのじゃぞ!」
「何かあれば……」
「魔力パスを経由して呼んでくれ!」
鳥が森から一斉に飛び立ってしまう。
「声大きすぎてバレちゃう!」
「すまぬ……」
アスタロテは不満そうに、
しゃがみ込むが……
木々をなぎ倒してしまう。
アリシアは全く気にせず、
街へ向かって歩き始める。
「すごい!」
「温泉街になってるんだ!」
温泉街は観光客が多くて、
大変賑わっていた。
(そうじゃろ!)
アスタロテと魔力パスを、
通して会話する。
「素敵だわ!」
すぐ近くには巨大な火山がそびえ立っている。
まさに絶景だ。
「というか私……」
「独り言ばかり言ってる……」
「危ない人じゃない!?」
(そんなことはないと思うが……)
「えー!?」
「他の人との会話の時は、」
「気を付けないと……」
(アリシア!)
(水飲み場があるぞ!)
「さっそく水を飲みたいわ……」
給水所があり、
水をがぶ飲みするアリシア。
「美味しい!」
「だ、大丈夫ですか?」
街の住人の女性が心配してきた。
(しばらく黙るとするかの……)
アスタロテは様子見する。
「こんにちは!」
「この街に質屋」
「食堂、服屋はありますか?」
「もちろんです!」
「ご案内しましょうか?」
「お願いします!」
アリシアはまず質屋に行き、
換金しようと考えたのだ。
「この聖剣は売れますか?」
「いやいや!」
「お嬢さん!」
「聖剣の買い取りはやってないよ!」
「そうですか……」
「じゃあこのアクセサリーは?」
「これなら高く買い取るよ」
「ありがとう!」
「助かるわ」
アリシアは大量の金貨を手に入れ、
当面の生活費は保証された。
「次はどうしますか?」
親切な女性が外で待っていた。
「リュックを買わないと……」
「冒険者が使う頑丈なポーチとか……」
「リュックはありますか?」
「あと野宿用の寝具も」
「それならギルドに行きますか?」
「うちはまとめてセット販売してるんです」
「本当ですか!?」
「お願いします!」
アリシアは女性とギルドに向かう。
「ここがギルドなのね!」
「大きい~!」
一階はギルド受付と食堂、
工房、アイテムショップが、
併設されており活気づいている。
二階は宿だ。
「まずは……」
「アイテムショップで……」
「冒険初心者セットを、」
「買わないと!」
アリシアは上機嫌に、
ショップのアイテムを見ていた。
初心者必需品セットに決めた。
「初心者セットください!」
「もちろんです」
「あとは何か入りますか?」
店主のジョンは丁寧に対応してくれる。
「キャンプ用品と……」
「頑丈な水筒……」
「超耐熱シートは……」
アスタロテと、
再び会話をしてみる。
(必要じゃな……)
「わかったわ!」
「な、なんだ!?」
ジョンは驚いている。
「ドラゴンのブレスにも、」
「耐えられる物が欲しいです!」
「ええ!?」
「さすがにそんな耐熱シートはないですね……」
「工房に行かれてはどうですか?」
ジョンは親切に工房まで案内してくれた。
「わかりました!」
「ありがとうございます!」
アリシアは初対面なのに、
親切にしてくれたジョンを信頼する。
「その間に準備しておきますよ」
笑顔で立ち去っていく。
「お願いします!」
アリシアは工房に向かう。
「ごめんください!」
ドワーフの職人ハイゼンが、
出迎えてくれた。
「はいよ!」
「べっぴんなお嬢さん!」
「何かご入り用かね?」
「ドラゴンのブレスにも、」
「耐えられる装備はありますか?」
「うーん……」
「難しいな……」
「あるにはあるが……」
「お嬢さんには重すぎるんだ……」
ハイゼンは申し訳なさそうに、
重装備の鎧を指さした。
「というかお嬢さん」
「なんでそんなものがいるんだ?」
「あと腰の剣は聖剣じゃないか!?」
「え、えっと……」
「私ドラゴンキラーなんです!」
「何だって!?」
ハイゼンは動揺のあまり、
金槌を落としてしまう。
「赤邪竜アスタロテって、」
「聞いたことある?」
「ああ……」
「伝説のドラゴンじゃないか!」
「ガキの頃から知ってるぞ」
「おまけに神々との戦争を始めた……」
「私は……」
「アスタロテを……」
(妻にしたぞ~!)
「ちょっと!」
「待って!」
改めて本人に言われると、
頬を赤く染めるほど、
恥ずかしかった。
「お、おう……」
ハイゼンが微妙な表情をした瞬間……
突然大地震が起きた。
「何!?」
「地震?」
まさかアスタロテが心配になって、
走ってきてるのかしら?
アリシアのハラハラが、
伝わったのか……
アスタロテは返事をする。
(走っておらんわ!)
「良かった!」
「外に出てみるね!」
アリシアは外に出て、
周囲を見回すと……
住民達が火山をみて、
絶望していた。
「火山の大蛇が……」
「ああ……」
「おれたちもここまでだ……」
「死にたくない!」
「いやー!!!」
住民たちは支離滅裂なことを、
言い続けている。
「皆どうしたの?」
「実は……」
ギルドの受付嬢ケイティが、
暗い顔つきで話し出す。
「ここ数年前から……」
「溶岩パイソンが……」
「活動を再開して……」
「火山の中から、」
「復活しそうなんです」
「かつてはギルドの総力戦で、」
「封印するのがやっとでした……」
「出てくる度に強くなっていて……」
「もう私たちでは、」
「どうにもならないんです……」
「親友も溶岩パイソンとの戦いで……」
涙目になる受付嬢ケイティ……
「王国や帝国は?」
「援軍は送ってくれないの?」
「こんな辺境の温泉街は無視ですよ」
「私たちは見捨てられたんです……」
「溶岩パイソンはどれくらいの大きさなの?」
「約二百メートル近くあります……」
「え!?」
「大きいわね」
「でも任せて」
(よしアリシア!)
(早くぶちのめすぞ!)
話を聞いていたアスタロテは、
戦いたくてうずうずしている。
「私たちが倒すわ!」
「私たちってどういうことですか?」
「ここにはあなたしか……」
ケイティが疑問に思っていると……
「馬を一頭借りられる?」
「なるべく何を見ても、」
「驚かない勇敢な子が良いわ!」
「うちの軍馬を使ってください!」
街を案内してくれた女性ローラが、
連れてきてくれた。
「ありがとう!」
「必ずあなた達を見捨てない!」
「だから信じて待っていて!」
果敢に馬へと騎乗し走り出す。
「さあ行くわよ!」
アリシアはアスタロテのところまで、
大急ぎで戻っていく。
「アスタロテ!」
「アリシア!」
「戻ってきたか!」
軍馬は案の定、驚かなかった。
恐らく神経が図太いのだろう……
「溶岩パイソンと戦うわよ!」
「報酬はなしで!」
「ただ働きか!」
「心が躍るの!」
「溶岩パイソンは、」
「食ってもいいのか?」
「大丈夫よ!」
「そのほうが街の人達も、」
「安心して暮らせるわ!」
「お馬さんここで待っててね!」
軍馬はヒヒーンと鳴き、
雑草をいじり始めた。
「それでは狩りの時間じゃな!」
「そうね!」
こうして二人は溶岩パイソンとの戦いに挑むのであった。
報酬なしという完全なボランティアである……
次は凶暴な溶岩パイソンとのバトルになります!
アリシアとアスタロテは温泉街に平和をもたらせるのか?
それとも……




