【短編】白き魔王と黒き勇者
双子の姉妹が居りました。
その姉妹は仲が凄く良かったのだが五歳になったある日、別々に暮らさなければならなくなる。
妹の方が屋敷に残り姉は誰かに預けられた。
そう魔王の紋章は姉の方に勇者の紋章が妹に現れたため一緒に居られなくなったからである。
だが姉の方は妹よりも優しく本当に魔王なのかと思うほどだ。
かたや妹の方は自分勝手な行動で周囲の者たちを困らせ本当の勇者なのかと思うほど酷かった。
そのためか姉の方を白き魔王、妹の方を黒き勇者と異名がつけられる。
十八歳のある日、黒き勇者は白き魔王に嫉妬し戦いを挑んだ。
しかし優しい白き魔王は戦うフリをして黒き勇者に負け死んでしまう。
それと同時に黒き勇者は我に返り自分の愚かさに気づき泣き崩れた。
そう白き魔王であった姉は昔のままの優しい姉だったと分かったからだ。
黒き勇者は自らを恥じ後悔して、そのあと姉の亡骸の前で自死したのだった。
その後二人のことは語り継がれ続けられる。もうこのような悲劇が起こらないようにと人々の思いを込めて……。