ep.4 ランキング四位
「お前レンか?」
「そうだ。」
「そっかレンか!俺わかるか?オールだよ!」
「お前がオールなのか?」
オールとは俺の仲間の一人であり、鎌使いで名を馳せていたランキング四位。
「じゃあ、その鎌も」
「俺のユニークジョブ『死神』の解放条件の一つだな」
「そっか、聡でオールね。案外安直だな」
「ちょっとやめてくれよ〜恥ずくなるじゃねぇか」
俺たちは肩を組んで再開を喜んだ。
「にしても幸運だったな。俺たちが同じフィールドにいるなんて」
「確かにな。そういえば最初にいた人数は十人だったぞ」
それが表すのは
「あそこにいたのは全員トップランカー達だったのか。そんなことなら声かけとけばよかった⋯」
運営の計らいだったのだろう。あそこにいたのはおそらくトップ10の十人。蓮が悔やんでいると
「まあまた会えるって。しかも俺たちは一人じゃないんだぜ。心強い相棒がいる」
「確かにな。お前に背中を預けたのはプレイヤーの中で一番多かったもんな」
蓮と聡はゲーム内では超がつくほど仲のいいプレイヤーだった。少し現実の話をするほどに
「いや〜心配してたんだぜ。こっちに来たのが蓮が塔を攻略してから一週間後でさ。蓮、ログインしてこないからみんな心配してたんだぜ」
と意味深な事を言う。
「ちょっとまってくれ。俺は攻略した日にこっちに来たんだが」
確かにあの日俺は白い光に包まれ気がつけばこの世界にいた。
「要するにお前にとって攻略してから一日も経ってないのか?」
「そうだよ」
この差は何なのか。運営の狙いなのかは分からない。
「塔を進めばわかるんじゃないか?」
「まあ今考えても仕方ないか⋯」
蓮は考えるのをやめて肩の力を抜いた。
「ところでさ。お前のところのスノウはやっぱり始めからなのか?」
と横で暇のなのかピョンピョン跳ねているスノウの話題に移った。
「そうなんだよ。なんにも覚えてない。そうなると他のみんなも覚えてないんだろうな⋯」
蓮はたくさんの仲間と契約をし、その力を借りながら塔を攻略したのだ。
「そっか寂しいな」
ゲーム内でのNPCとは言えまるで人間のように話し接していた相手との関係がゼロに戻るというのは悲しいものだ。
「絆ならまた結べばいいさ。今は聡のユニークジョブを解放するのが先だろう?」
「手伝ってくれるのか?助かる!じゃあ、早速塔に行かないか?最初の層がどこになるかは分からないけどな」
というのもこの塔シーズンごとに塔内部の構造が変化していくのである。
実際に今回も変化しているはずだ。
「結局あの条件はなんなんだ?性格が悪すぎると思うんだが⋯」
蓮は昔聞いた条件について思ったことを声に上げた。
「まあ仕方ないんじゃねえか?それぐらいじゃないとユニークジョブのミッションに釣り合わないんだろうぜ」
「まあ確かに」
ユニークジョブは一般職業と違って、プレイヤー、一人しか持っていない職業だ。
それだけ強い効果がある。ユニークジョブを持っているだけで上級プレイヤーの仲間入りと言われるぐらいだ。
「じゃあ、塔いくか」
「そうだな。スノウ行こう」
「うん、暇だったからちょうどよかったー」
スノウもやっぱり一人の人なんだなと蓮は思った。
それから、三人は塔の入り口へと向かった。
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「やっぱり塔の入り口は空いてるな」
「自ら命を差し出そうとするやつが少ないだけじゃないか?実際死ぬと死ぬらしいし」
確かに俺たちは死ぬだろう⋯けれどスノウたちはどうなってしまうのか。彼女たちも同じように死んでしまうのだろうか。それに蘇生スキルはどうなる。
疑問は募るばかりだ。
攻略に乗り気のやつなんていないんじゃないかと思ったその時ピーンポーンパーンポーンとよく聞く放送音が聞こえてきた。
『どうも皆さん元気ですか?みんなのマスコットデウスですよ〜。今から皆さんに伝え忘れていた事を伝えますからよーく聞いておいてくださいよ!皆さんを勝手に連れてきて何もないのもよくないので、百層まで言った人全員に何でも願いを叶えられる権利を差し上げちゃいまーす!じゃあ皆さん頑張ってね〜』
プツッと放送はそこで切れた。
「これはまずいことになるんじゃないか?」
聡はこっちを向きながら顔をしかめてそう言った。
「ああ、願いを叶えられるとかいうのにつられて五十層を超えた瞬間お陀仏だ」
上層に登れるプレイヤーなんてみんなユニークジョブ所持者だ。
初見でユニークジョブなしで進めるような甘い場所じゃない。
「これから塔の入り口は混む。早いところ入っておこう」
「そうだな。蓮の方は目立つしな」
それで、三人はそそくさと塔に入るのだった。