ep.1 はじまりの森
デウスが高々と宣言した後俺たちの前にはゲームで嫌というほど見たミッション画面が表示された。
「『チュートリアルミッション はじまりの森からの脱出』か懐かしいな」
「そうだな。このゲームのチュートリアルはよーく覚えてるよ」
聡は嫌そうな顔を浮かべた。
「今となったら慣れたが容赦なく殺しに来るんだもんな」
このゲームは割とどころかかなり容赦がない。
チュートリアルから普通に死亡要素と初見殺しを入れてくる。別名初心者狩りの森。
「まじで運営は何考えてこのチュートリアルを作ったんだ?」
「まあ、いいじゃないか。チュートリアルだけどどうする二人で行くか?」
「いや、一人で行こう?二人で行くとイレギュラーなことが起きるかもしれない」
蓮は冷静にそう判断を下した。
実際ゲームで持っていたスキルも装備を持っていない。レベルも1。もしこれで強敵が出ようものならお陀仏だ。
本当は別の目的があるのだが。
「確かにそうだな。じゃあ、森を出た後の職業の神殿でまた会おうぜ」
と聡は塔の第一階層第一フロアにある。最初の一番大きな選択をするであろう場所を示した。
「あそこなら安全にだしな。了解また会おう」
この状況で仲間はいてくれるとありがたい。
この提案は俺にとってメリットしかないだろう。
「じゃあ、また後でなー」
聡は差ししめられたルートを進んでいった。
周りのプレイヤーであろう人達ももういなくなっている好都合だ。
蓮はルートとは逆の森の中へと入っていった。
そこは普通は入ったら強制ムービーが流れ戻される場所だ。ただ、そのポイントを避けながらなら奥に進むことができる。これを知っているのは俺だけだ。
(この木を右その次を左に進んでっと)
すると暗かった森から一転開けた場所に出た。
そしてそこには、
「相変わらずデカいドラゴンだな」
白い鱗を持つ白龍が立っていた。
そして、ドラゴンがこちらを認識し甲高い鳴き声を発した瞬間蓮の前に
『ユニークミッション 弱き者の蛮勇が発生しました 受注しますか? YES/NO』
もちろんYESだ!
『ミッションの受注を確認しました。ミッション弱き者の蛮勇を開始します』
「さーてやりますか!」
蓮は地面を強く蹴り走り出した。
ドラゴンはこれを見てブレスを放つが当たらない。
「その攻撃は見飽きてるんだよ!」
とひらりと攻撃をかわし少し外れたところにある大量の剣の墓場から一本の錆びた大剣を手に取った。
「ほら来いよ」
とドラゴンに挑発をかけドラゴンはブレスを放った。
「フッ、かかったな」
蓮は大剣を前に出し攻撃を防いだ。
そして、錆びていた部分が取れ、そこには赤く輝く大剣が握られていた。
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『ドラゴンスレイヤー』
古代の名匠が打ったとされる名剣。その剣はどんなドラゴンであろうが打ち破るだろう
ドラゴンと対峙しているときステータス十倍
ドラゴンに対してダメージ十倍
使用者のHPを一秒ごとに一吸収
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ドラゴンはそれを見た瞬間怖気づき始めた。
「さあ、チェックメイトだ!」
蓮は高く飛び上がりドラゴンの首を落とした。
『ホワイトドラゴン(古龍種)を討伐しました。レベルが上昇しますレベルが上昇しますレベル上昇⋯』
静かになった森の中でそんな機械音が響いていた。