プロローグ チュートリアル
気づけばそこはゲームの中の世界だった。
周りには大量の同経緯だと思われる人がいた。
「どういうことだ?」
◇◆◇◆
時は遡る。
一人の高校生は部屋に引きこもっていた。
ただ彼には天賦の才能があった。
それは勉強?それとも運動?どちらも不正解だ。
彼にはたった一つの才能、ゲームの才能があった。
彼はただただゲームを楽しむ少年だ。
そんな彼の名は御門蓮。
彼にとってゲームだけが救いで現実を忘れられる手段だった。
今プレイしているゲームは『クロノス・ユナイツ』。
設定としてはプレイヤーが突如現れた謎の塔を攻略するという物だった。
このゲームは途中までは一般プレイヤーでも攻略する事が難易度のゲームだが、五十階層を超えてからの難易度が跳ね上がっていく。
ネットでは鬼畜ゲーや死にゲーと謳われるゲームだ。
だが、そんなゲームの攻略に蓮は王手をかけていた。
「これで三十回目の挑戦だ。そろそろ、攻略したいな」
と蓮は集中を高めはじめた。
それから、戦うこと十分これの目にはコングラッチュレーション!の文字がはっきりとは映っていた。
「自称神がラスボスだとは誰も思わないだろうな」
と感想を一人つぶやいていると目の前にメッセージが現れた。
「なになに、百階層攻略おめでとうございます。これを記念日してあなたにご褒美を差し上げます。だって何だろう?」
そこにはハテナ表示になった何かがいくつかあった。
「まあ、攻略したし今日で引退かな」
これでランキング一位としてゲームを終えられる。
そして、蓮はゲームからログアウトした。
蓮はログアウトした後VRゴーグルを机の上に置くとベットに寝転がった。
「また、新しいゲーム見つけないとな⋯」
そう呟いた瞬間蓮の視界は真っ白で埋め尽くされていった。
そして、気がつけば見覚えがある草原に立っていた。
「俺は幻覚でも見ているのか?」
その景色は『クロノス・ユナイツ』のチュートリアルステージだった。
周りにも何人かの人がいるので年齢が近そうな人に話しかけてみることにした。
「あの、すみません」
「⋯あ、ああどうしたんだ」
と呆然としていたからなのか少し遅れて返事が帰ってきた。
「これって現実でしょうか?だってここは⋯」
「チュートリアルステージだからだろう。俺も気がついたらここにいたんだ。あ、俺は高山聡だ」
「俺は御門蓮っていいます」
軽く自己紹介を済ましたあと状況整理をすることにした。
「蓮も同じなのか。俺も何だよ」
「いきなり名前呼び!?別にいいけど」
「蓮も気軽に聡って呼んでくれよ」
「わかったよ聡」
今の現状は情報がなさすぎる。でも、もしここが本当にゲームの世界なら⋯
「デウスはいるか?」
「ここにいますよ。どんなご要件ですか?」
と白い服を身にまとったゲームの案内マスコットが出てきた。
「そうかデウスか」
「案内人なら何でも知っているだろうね。えっとデウス今の現状を教えてくれ」
「承知しました。プレイヤー様方は生まれ変わったのです。この世界にプレイヤーとして」
「つまり、ここは現実で俺たちはこの世界に転生したって言うのか?」
「その通りです蓮様」
転生?やっぱり夢なんじゃないかそんなこと現実にあるわけ⋯
「ありますよ。ここは現実でありここで死ねばリスポーンもありませんから死にます」
「ちょっとまってくれ!じゃあ、元の世界には戻れないっていうのか」
「聡様その通りでございます」
それを聞いて聡は膝から崩れ落ちた。
「ですが、塔を攻略すれば帰ることができます」
と一睡の希望が現れた。
「だけど、そんなの不可能だろ⋯」
「いや、可能だよ。攻略はできる」
「なんでそんな事が言えるんだよ」
「それは⋯」
これが現実なら俺が攻略者なのは隠しておいたほうがいい。
「とにかく希望を持ていけるとこまで行くんだ!」
「⋯確かにそうだな。情けないところを見せて悪かった」
聡はそして立ち上がった。
「それでは、きりがよさそうなのでチュートリアルを開始したいと思います」
というデウスの声が草原に大きく響いた。