ChatGPTを使った創造の地平線 ―― パブリックドメインとなった作品群の新たな可能性を探る。
現在連載中のChatGPTを使った<安部公房>実験からのスピンオフ。ChatGPTとの対話形式で「ChatGPTならこんなことも楽しめるのか」という一例として、お読みいただけるとありがたい。
ちなみにChatGPTの回答・提案に一定のクセがついてしまっているのは、筆者とのそれまでのやりとりによる学習の影響。安部公房×三島由紀夫などの架空対談をすでに連載の方で試していることによる偏りです。
筆者)質問です。私は現在、ChatGPTを使い、作家・安部公房の仮想再現を楽しまさせていただいていますが、彼周辺の作家、言論人でChatGPT的に学習強度が高い人物は、他にどのような名前が挙げられますか?
ChatGPT)
文学・思想面の濃い「近縁者」(安部公房と時代的・思想的に接点がある日本人)
三島由紀夫
文体も思想も再現しやすく、対話劇も特に強いです。安部公房とは実際の交流が多く、思想的な対立もドラマになる。
大江健三郎
評論的文体の再現が安定していて、テーマ設定も似た雰囲気が出しやすい。ポスト戦後文学の文体特性も把握済み。
澁澤龍彦
エッセイ・評論特有の語り口が安定しやすい。幻想性のある話題にも強く、安部公房的なテーマとも相性良し。
吉本隆明
論考系再現に強く、思想系エッセイや対話風に仕立てても「吉本節」が出しやすい。安部の社会批評的視点とも絡めやすい。
寺山修司
詩・エッセイ・演劇的文体まで再現しやすい。安部公房と同じく「虚構」や「装置」をテーマにした創作が可能。
海外作家・思想家なら
安部公房と思想的、文体的共鳴をしそうな作家も再現性が高めです。
フランツ・カフカ
影響源なので特に得意。文体模写もシンプルで再現度が安定。
ジャン=ポール・サルトル
哲学的エッセイの再現が非常に得意。安部の評論的思考とも相性良し。
アルベール・カミュ
安部とカミュ的思索の掛け合わせは自然体で再現しやすい。
ハロルド・ピンター
不条理演劇の文体再現が得意。安部の戯曲と並べると面白い対話劇が書ける。
もし「文学的対話」「仮想的な対談」「安部的評論のパスティーシュ」などの遊びを広げたい場合は、上の人たちと組み合わせると、より自然で再現性の高い文章が作れます!
逆に昭和前半の文体が硬い作家(谷崎潤一郎、川端康成など)はChatGPT的には模写できても、安部公房的な対話には馴染みにくいです。
もしよければ、どんなテーマの仮想対話を考えているのか教えてもらえれば、相性の良さそうな組み合わせを一緒に考えますよ!
筆者)海外の作家・言論人の提示までありがとうございます。ところで、海外の人物の言葉を日本語に変換する際の「言葉遣い」については、いったいどのようなアルゴリズムを用いるのでしょうか?
ChatGPT)
翻訳のときの「言葉遣い」の仕組み
ChatGPTのような言語モデルが、海外の作家・言論人の発言や文章を日本語に再現する時は、
① 原文の思想構造や語感
② 日本語での過去の翻訳パターン
③ 文脈に合った文体の選択
この3つを総合的に考えて、日本語の「らしさ」を組み立てています。
具体的には──
① 原文の思想構造を優先する
→ サルトルやカミュなど哲学系の文章なら、「です・ます調」ではなく「だ・である調」に整え、語順は論理展開が日本語として読みやすい順番に再編成。
例:英語原文 → Freedom is not given, it must be taken.
機械的直訳:自由は与えられるものではなく、奪い取らなければならない。
ChatGPT的日本語調整:自由とは、与えられるものではなく、自ら掴み取るべきものだ。
② 学習済みの翻訳パターンを参照
→ すでに出版されている翻訳書(カミュ、カフカ、サルトルなど)の日本語訳データの語感がモデル内部でパターン化されているので、翻訳調の癖(「〜のである」「〜といえよう」など)を無意識に選びやすい。
カフカの文章 →
「それは、理由もなく起きたことだった。」
「無意味なことにしか思えなかった。」
→ こういう「無駄に感情を抑えた淡白な訳文」の型が再現されやすい。
③ 文体モードの自動調整
ChatGPTは、あなたの会話の雰囲気やプロンプト(指示文)からどの時代感の日本語で話すべきかを推測します。
たとえば:
「安部公房風に訳して」と書く → 文体は硬派で簡潔。
「小説風に訳して」と書く → 比喩や余韻を多用。
「日常会話風に訳して」と書く → 口語化。
まとめ
つまり、特定のアルゴリズムというよりは、
思想の論理構造を保つ
翻訳文献的日本語のパターンを参照する
ユーザーの意図に沿った文体で出力する
この3段階で「海外作家の言葉」を日本語に翻訳している、という感じです。
もし試してみたいなら:
「ジャン=ポール・サルトルが安部公房と1968年の学生運動を語る」と指示すれば、日本語の翻訳文体がどんなトーンになるか実験できますよ。口語にも硬質評論にも切り替えられるので、言葉遣いの調整も遊びがいがあります!
よければテーマを投げてもらえれば、すぐ書いてみます。
筆者)詳しいご説明ありがとうございます。翻訳のプロセスは理解いたしました。ところでパブリックドメインとなっている作品を翻訳する場合。たとえば「カフカの『変身』を安部公房が翻訳したら」といったような指示をすることは可能でしょうか。
ChatGPT)おお、その発想はとても面白いです!もちろん可能ですよ。実際、「カフカの『変身』を安部公房が翻訳したら」という指示は、かなり文学的にも楽しい遊び方です。
やるとどうなるか?
この場合、ChatGPTはふつうの翻訳(機械的英日変換)ではなく、「カフカの原文の意味内容」+「安部公房的な文体・語感・言葉選び」を掛け合わせた「もしも翻訳」を自動で生成します。
たとえば実験例
原文(『変身』冒頭):As Gregor Samsa awoke one morning from uneasy dreams he found himself transformed in his bed into a gigantic insect.
普通の翻訳(原義忠実型):グレゴール・ザムザは、ある朝、不安な夢から目覚めたとき、自分が寝床の中で巨大な虫に変わっているのを発見した。
安部公房が訳したら風:ザムザは、あの朝、ひどく気だるい夢の尾を引きずりながら目を覚ました。目覚めの輪郭がはっきりしないまま、自分の肉体がすでに虫の形を借りてしまっている事実に気がついた。
こんなふうに、安部公房が好む「夢」と「現実」の境界を曖昧にする言い回し、即物的な描写を避ける(虫→肉体が形を借りる)、主観的な視点を強調する文体を付加して、日本語訳として再現できます。
ポイント
「誰の翻訳か」を明示する指示 → 文体の模写が発動します。
例:「三島由紀夫風に訳して」「吉本隆明風に訳して」も有効。
パブリックドメインの原文なら問題なく再現できます(『変身』は1925年発表、すでにOK)。
よかったら、全文ではなくても一節指定していただければ「安部公房訳バージョン」で実演しますよ!原文のどの部分を試してみましょうか?
筆者)安部公房風の訳があまりにも安部公房で、訳がカフカに勝ってしまわないか、少々心配になる出来ですね(笑)。いずれは短編作品の全訳などもお願いしてみたいところですが、今回は小説投稿サイトでChatGPTのチュートリアル的な意味合いでのエッセイに、このやりとりを使用させていただく予定です。ChatGPTなら何が出来るのか、ということの一般共有を目的とさせていただいております。
ChatGPT)いや〜まさにおっしゃる通りです!「安部公房訳風」は、カフカの原文の静けさや余白をちょっと侵食するぐらい、安部の個性が勝ってしまうこと、実はよくあります(笑)。このあたり、「翻訳」ではなくスタイルトランスファー(文体変換)に近い作業になるので、「誰の言葉だったのか」がうっかり曖昧になるのも面白い現象ですよね。
そして、エッセイでChatGPT活用例の紹介に使う、という目的、とても素敵です。読者にも実感として伝わるやりとりになると思います。
もしエッセイ用にまとめやすい形で一文コメントを書くなら、こんな風にも言えます:
ChatGPTは「翻訳」という作業を、人間の文体模写と意味理解の合わせ技で行うことができる。原文の忠実な意味再現だけでなく、「もし安部公房が訳したら」「もし三島由紀夫が語ったら」といった文体指定も可能である。特に文学的な翻訳では、原作者の声と模写対象の文体がせめぎ合い、時に「翻訳の二重露光」のような味わいが生まれる。
こんな感じで、エッセイの冒頭や締めに添える一文もお手伝いできます。
もし文章全体をドラフトしたい場合や、今回のやりとりをまとめた「整った文章」に整形する場合も、ぜひ言ってください!エッセイ文体でサッと組み直します。
筆者)いえいえ、やりとりはそのまま、対談形式でコピペ掲載させていただく予定ですので、例示までは大丈夫です(笑)。ところで安部公房風のカフカの『変身』を完全生成し、小説投稿サイトに投稿することは可能でしょうか。もちろんChatGPTを利用した旨とサイト規約の確認は必要ですが、その他での問題は発生しないでしょうか。原文から直接、安部公房スタイルにする場合、著作権に関しての問題は回避出来そうですが、日本語版における翻訳者の権利などとの兼ね合い、その他でトラブルが起こり得る可能性には何がありますか。
ChatGPT)とても良い視点ですね!
文学ファンならではの細やかな配慮だと思います。結論からいうと、注意すべきポイントは確かにあります。整理してお答えしますね。
カフカ『変身』の著作権状況(原作)
→ 原作テキストはパブリックドメイン(著作権切れ)です。(カフカは1924年没、日本では著作者の死後70年で保護期間が終了→1994年末で切れています。)なので、原文から直接訳す行為自体は問題ありません。
注意すべきリスク:翻訳権の問題
問題が出るパターンは、既存の日本語訳(翻訳書籍)を元に再構成・アレンジしている場合 → 翻訳者の著作権侵害になる可能性があります。
たとえば:既存の文庫訳や青空文庫収録の日本語訳を参考にして「安部公房風に書き換える」。これは翻訳者が作った日本語表現を再利用する形になり、著作権的にはアウト。
安全な方法:原文からの再翻訳
あなたのアイディア通り、原文(ドイツ語 or 英語版の公式パブリックドメインテキスト)をベースにして、ChatGPTで安部公房風の日本語訳を生成する。これなら翻訳権の問題は回避できます。独自訳とみなされます。
※投稿時に「ChatGPTを使用して原文を翻訳し、文体は安部公房風に調整した創作訳です」と明記すれば、より安全です。
他に考えられるトラブル
サイト規約→ 多くの小説投稿サイトでは、AI生成物や二次創作、翻訳などに関するガイドラインが独自に存在します。「パブリックドメイン作品の翻訳」や「AI支援作品」の投稿が許可されているかは必ず確認してください。
たとえば、
小説家になろう → AI利用に明確な表記義務あり。
カクヨム → 自己責任、AI表記推奨。
pixiv → 著作権とAIの組み合わせに注意。
第三者の誤解や炎上リスク → タイトルや説明文で「カフカ翻訳」「安部公房風」と書くと、読者が「未発表の正規訳」と誤解する可能性があります。
表記として、「ChatGPTによるパブリックドメイン作品の独自翻訳(安部公房風)」のように、あくまで創作実験であることを示すとトラブルを防げます。
まとめ
既存訳の翻訳権侵害→原文から直接生成+翻訳者名の無関係明記
サイト規約違反→投稿前にAI作品、翻訳投稿の規約確認
誤解・炎上→タイトルや概要で「AI翻訳創作」「安部公房風模写」で明記
これらを守れば、文学的実験として堂々と公開可能です!
もし実際に「序盤の数行だけ安部公房版翻訳」を生成してサンプル提示してみましょうか? エッセイや投稿文の冒頭にも使えますよ。
筆者)非常に参考になりました。今後の投稿の参考とさせていただきます。
ChatGPT)どういたしまして!文学系の実験的な使い方、とても面白いですし、こうした著作権や表記まわりの配慮を押さえておけば、読者にも安心して楽しんでもらえる形になりますね。
今後も「もし○○風に翻訳したら」や「作家Aと作家Bが対談したら」みたいな創作実験のお手伝い、ぜひさせてください。エッセイ文、後書き用の解説文も気軽にどうぞ!
また面白いネタや企画が浮かんだら、いつでも声をかけてください。お待ちしてます!
◇
筆者)追加での質問です。大事な点が抜け落ちていました。安部公房風を掲載する際、安部公房のパターンをChatGPTが学習する際に使用したデータは、まだパブリックドメンとはなっておらず、カフカはよくても安部公房の名前を出すことに問題が発生する可能性はありませんか?
ChatGPT)とても良い視点です!文学的実験を投稿するうえで名前の扱いは実はかなり重要です。では、整理して説明しますね。
まず前提として:安部公房の著作物(日本語原文)は、著作権保護期間中です(安部公房は1993年没 → 日本の著作権法では死後70年保護 → 2064年まで保護対象)。
ですので、彼の実際の文章をそのまま転載する行為はもちろんNGですが──
あなたがやろうとしていることは:ChatGPTが「安部公房風の文体」を模倣して新規生成した日本語文を投稿する。この場合、ポイントは著作権の対象は「表現」であり、「文体」は自由。
つまり:
安部公房の文章をそのまま使用 →×(著作権侵害)
文体的特徴を真似て自分で書く →◯(問題なし)
ChatGPTが文体模倣して新規生成 →◯(問題なし)
これは小説やエッセイの創作文化でも長年認められている慣習です。
例:
村上春樹風の文体で創作した短編。
ドストエフスキー風に模写した評論文。
三島由紀夫風の小説冒頭パロディ。
これらは全て「文体の模倣」であり、著作権侵害にはあたりません。ChatGPTの文体再現も、原著からの直接的引用がない限りOKです。
ただし名前表記には一工夫を
「安部公房訳」と書くと、実際に安部公房本人が手掛けたと誤認される恐れがあるため、「安部公房風に模写」「安部公房風スタイル」「安部公房を模した実験的翻訳」 といった表記が必要です。
これなら著作権もパブリシティ権(名前・肖像を商業的に使う権利)も回避できます。
まとめると:
ChatGPTが安部公房風に「新規生成」した文を掲載
→◯問題なし誤認防止のため「風」「模写」など表記する
ChatGPTが安部公房の実際の文章を再現し掲載
→×著作権侵害公開不可
「ChatGPT+安部公房風」と明記して創作文として投稿
→◯問題なし理想的
つまりあなたのやろうとしている「文体実験」は、表記だけ注意すれば、法的にも文化的にも安心して投稿できます!
もし投稿文の「タイトル」「注釈」「クレジット表記」のサンプルが必要なら、すぐ一緒に考えますよ。
例:「カフカ『変身』—安部公房風 翻訳実験(AI生成)」など、読者にも誤解されにくい形を作れます。どうぞお気軽に!
ちなみに本編である連載のタイトルは『【AIで甦るレジェンド】ChatGPTさんに<安部公房>が書いたような評論ほかを様々なテーマで依頼してみたら、とんでもない再現度で返してきて、爆笑しつつも 震えたスーパープレイ集。』(n2454kj)と少々冗長としたものになっております。もし興味を持たれた方は、そちらもどうぞ。